人手不足、激務、土日返上「当たり前」の教育現場
小学生の頃から教員という仕事に憧れ、高校卒業後は体育教員を目指し、某体育大学に進学したゆいさん。その後、千葉県内の私立高校に非常勤講師として採用された。
着任直後の20代前半は、憧れの仕事に就けたことに胸が弾み、必死に業務に食らいついていた。しかし20代半ばを過ぎたあたりから「私はいつ常勤になれるのだろうか」と不満が溜まっていった。
自分より後に入った後輩は、母校出身という理由で早々に常勤になった。「20代で若いし独身だから」と土日返上で運動部の指導を任されながらも、正式な文書に名前が載るのはいつも正規の顧問教諭。部活指導に力を入れても、進学重視の学校だったため、「部活は勉強の邪魔にならないようにしてくれ」と他教員に言われたこともあった。
この学校にいても、自分が正当に評価される日はこないように感じた。ゆいさんはその間、公立高校の教員採用試験に何度も挑み、9年目にして合格。32歳で現在勤める千葉県立高校に正規で採用された。ただそこでも新たな試練にぶつかった。
「32歳って教員の世界ではもう中堅なんですよ。私は正規で担任持つのも初めてだったけど、周りを見たら同世代は主任を務めていたり、学年会議でバンバン意見をだして仕切っていたりして、『私だけ遅れている』という焦りや劣等感はすごく感じていました」
とはいえ、人手不足などの関係もあり、赴任2年目から急遽、体育主任を任されることになり、「それはそれで大変だった」とゆいさんは振り返る。
「業務量も多いし、容量もつかめず上手く回せない。だけど人手不足だから業務を引き受けざるを得ずに、その都度キャパオーバーになってしまって。自分は全然ダメじゃんって毎日凹んでばかりでした」