人を拒否して、ひきこもる

結局、登校できないまま高校は中退した。通信制の高校に行かされて19歳で卒業。大学受験をして福祉学部に入ったが、1週間で通えなくなった。

そのまま家にひきこもり、光を浴びない生活が何年も続いた。

「心が本当に人を拒否してしまって。日の光を浴びると明るく照らされるから、ご近所さんとか他人に自分の姿が見えるじゃないですか。人目にさらされることが耐えられなくて、誰にも見てほしくなかったんです。自信は皆無というかマイナスで、自分は根性もなくて、学校も通いきれない、醜い存在だと思っていました。

夜も眠れなくなり、苦しくて泣き叫んでいると、母が私の口にタオルとか入れて声を出せないようにして、上から布団をかけて押しつぶすんです。弟も一緒にやれって母に言われて。

写真はイメージです。画像/shutterstock
写真はイメージです。画像/shutterstock

弟は私より優秀で勉強も頑張っていたんですけど、私がひきこもって家の中が荒れてからは、グレちゃいましたね。高校で暴れて校舎のガラスを割ったり、消火器をぶちまけたり、家に帰ってこないでゲーセンに入り浸ったりして」

母親に「家にいるなら家事をして」と命じられて料理や洗濯をしたが、初めはうまくできずに怒られてばかり。ニンジンのグラッセを作ったときは、途中で焦がしてしまい、「こんなもの食べられない」と床にぶちまけられた。

息抜きにテレビを観ようとしても「なんで遊んでるの」と怒られる。弟のゲームを借りてプレイするのが密かな楽しみだった。