ばい菌認定され、ひどいいじめに

小学校卒業と同時に転居。知っている生徒が一人もいない中学に入学すると、なじむ前にいじめが始まった。

トイレ掃除中にホースでバシャーっと水をかけられたり、男子に囲まれて押し倒されたり、コンパスの針で後ろからブスブス刺されたり、着替え中にカーテンを開けられたり、下敷きなど文房具に油性ペンで落書きされたり……。

「アトピーで全身の肌がかゆかったので、頭もかきむしっちゃってたから、フケがすごくて。制服のブレザーにつくと目立つので、自分でも気になって取ってたけど、髪もボサボサだったし、“ばい菌”認定されちゃって…。けど、一番心にダメージが来たのは、誰も口をきいてくれなくて無視されることでしたね」

写真はイメージです。画像/shutterstock
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両親に言うと父親が学校に電話をしてくれた。だが、その次の日に登校すると、「告げ口したな」と言われ、さらにいじめが激化――。

母親は励ますつもりだったのか、強い口調でこう叱責してきた。

「お母さんもいじめを受けていたし、いじめられるのは普通だから、なんで頑張れないの?もっと成績上げたら、人気者になれるんじゃないの?」

無視されるいじめが一番キツイと母親に相談したら、なぜか白石さんのことを無視して弟にだけ話しかけ始めたという。

「なんで母がそんなことをしたのか、よくわかんないんですけど、それで、ホントに私、1人ぼっちがダメになっちゃって。同じ学年のよく知らない人にもいじめられて、私は誰にも好かれないし、すべての人を不愉快にさせる存在なんだ。人は怖くて、会えば害を加えてくる生き物なんだと思うようになりましたね」

学校を休むことは許してもらえず、白石さんは毎朝、祖父母がくれたお守りを握りしめて、「今日はいじめが軽くなりますように」とブツブツ唱えながら登校した。

唯一の救いは部活だった。白石さんは音楽が好きで吹奏楽部に入りトロンボーンを吹いていた。顧問の教師がいじめを許さなかったので、その時間だけは楽しめたという。

写真はイメージです。画像/shutterstock
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