グミがガムを抜いた理由は「コミュニケーションツールになったから」
――近年、さまざまなグミがコンビニやスーパーの棚をにぎわせています。2021年には、長らくトップだったチューインガムの売上規模を上回ったそうですが、その理由は何だったのでしょうか。
白鳥(以下同) 2021年にグミの売上がガムを上回ったのは、コロナ禍を経てグミがコミュニケーションツールになったことが大きいです。
コロナ禍ではみなさん行動を自粛していたため、友人にまったく会えなかったり、新しい友人ができなかったりなど、他者との関わりが希薄化しました。そのため自粛が緩和されて以降は、再度コミュニケーションを取ろうとする動きが多かったように思います。
元々、グミは持ち運びしやすい「外で食べる用」のお菓子でした。ところがコロナ禍以降、特に若者の間で、たまたま会った友人や初めて会った人にグミをあげたら喜ばれたり、グミをきっかけに話が盛り上がったりする様子が見られるように。
こうしてグミがコミュニケーションツールとして活用されるようになった結果、グミ市場は伸び続けて、2022年は前年比23%増の781億円規模にまで成長しました。
――グミが人気になった理由は他にもあるのでしょうか。
ひとつは、オフィスワークからリモートワークに切り替わった人が多かったことです。
元々オフィスワークのお供はガムでした。ガムをかんで集中力を高めたり、気になる口臭をガムによって打ち消したりする効果があったからです。しかしオフィスワークが減ったことで、対面で人に会う機会も減少し、ガムは市場を縮小しました。
しかし、口寂しさや集中したいというニーズは残るため、それをグミがうまく拾いました。ガムの代替品としてヒットしたのが、かみ応えのあるハードグミ。カバヤ食品の「タフグミ」などです。
それから、コロナ禍で“おうち時間”を充実させるようになった結果、外で食べるものだったグミが家でも楽しまれるようになりました。家で食べるというニーズがアドオンされ、純粋な市場拡大につながっています。
このほか、グミが昔から親しまれていて、祖父母が孫に買い与えるなど“世代をつなげる”お菓子であることや、原材料が砂糖とゼラチンで原価率が低く、商品が売れなくても企業ダメージが比較的少ないことなども、グミ人気の背景にあります。