“根拠のない自信”を持って商品を生み出す

――グミメーカーのようにオリジナリティあふれる商品を自信を持って出すために、どういった工夫ができますか?

日本では1980年代から「マーケットイン」、つまり消費者の声を聞いて商品を作るという手法が流行しましたが、大ホームランを狙うなら「プロダクトアウト(作り手の理論や計画を優先させて商品を開発すること)」ですよね。消費者アンケートでは真の潜在的なインサイトが出てこないからです。

今回多くのグミメーカーを取材してみて、商品の担当者がとても楽しそうに仕事をしていたのが印象的でした。会社で自由にやらせてもらっているんだなあと。

現在グミの主流になっているハードグミも、元はニッチな商品でした。でもニッチな商品を支えているのはたいていコアなファンなので、その発信力が味方した結果、主力商品へと成長したわけです。

日本にただよう停滞感なんて気にせず、まずは根拠のない自信を持って商品作りができるような環境を目指してはどうでしょうか。

市場規模781億円の「グミ」がヒット商品を続々生み出せる5つのヒント「消費者の声から“大ヒット”は生まれない」理由とは_4
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取材・文/金指 歩 画像/shutterstock 

『グミがわかればヒットの法則がわかる』(プレジデント社)
白鳥和生
グミがわかればヒットの法則がわかる
2024年4月26日
1,870円(税込)
1.3 x 13 x 18.8 cm
ISBN: 978-4833425247
日本経済再生のヒントは、「グミ」にある!?  コンビニの棚を席巻する大ヒットの謎に迫る

飲食料品の世界で起きた、四半世紀ぶりの〝大逆転劇〟。 2021年、グミがチューインガムの市場規模を上回った。 グミは日本で発売されて40年ほどの歴史しかないが、いまや老若男女問わず愛されるお菓子に成長した。

グミとは何者なのか。グミには5つの顔がある。
① 「幸せ感」につながる小腹満たし・気分転換ニーズを満たす
② 「コスパやタイパ」につながる代替ニーズを満たす
③「楽しさ」につながるバラエティーの豊かさ
④「期待感」が高まる相次ぐ新商品の登場
⑤「つながっていることを実感」できるコミュニケーションツール

様々な顔を持つグミの魅力に惹きつけられたファンたちが集う「日本グミ協会」という団体が生まれたり、「グミ文化祭」というイベントが開催されたりしていることにも注目だ。

人口減少が進む日本で、グミがヒットしたひみつとは?  元・日経新聞記者で、あらゆる小売業の動向を長年追いかけてきた著者が、マーケティングの観点からわかりやすくひもとく。
【目次】 
はじめに
◆第1章 グミの歴史と人気 ・グミの起源はドイツ ・日本は「明治」が先陣切る ・2021年にグミ市場がガム市場を逆転!  ・コロナ禍が後押しした市場拡大 ・小売り側の反応 ・物価高騰のなかでも支持を集めるグミ ・コラム かむことと健康の関係
◆第2章 消費者の声から読み取る「グミ」とは ・グミは誰が食べているか?  ・人口が減少するニッポンで、なぜグミは成長しているのか ・「タイパ」と「代替需要」  ・Z世代とグミ ・消費者が持つ「グミ」のイメージ ・情緒的価値が大切なベネフィット ・コンセプトが商品の命 ・グループインタビューから見えてきた消費者インサイト ・グミを形づくる5つの要素 ・コラム マーケティングコンセプトハウスの山口博史社長の分析
◆第3章 メーカー各社の戦略 ・グミの持つ多様性と技術 ・明治 ・カンロ ・UHA味覚糖 ・ハリボージャパン(ハリボー日本法人)  ・コラム グミ市場を支える地方メーカーと菓子卸
◆第4章 企業と生活者による「共創」  ・ヒットの法則とグミ人気 ・ファンがブランドを育てる ・ファンマーケティング ・勝手連がグミを応援 ・オタクとは違う「推し活」  ・コラム 「グミ文化」を目指す(日本グミ協会の武者慶佑名誉会長の寄稿) 
おわりに
参考文献
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