「キーウで生きている子どもたちに希望を持たせたい」
ヴィカは現在、キーウでダンサーとして活動する傍ら、ダンスの振り付けを教えるコレオグラファーとして活動中だ。彼女は0歳から4歳の子どもを対象にしたワークショップに1年前から参加している。このワークショップはリトアニアを中心に日本を含む各国の支援によって運営されている。ここでは演者である子どもと観客の親が交流をしながら戦争の中で子どもたちをどう教育するかということを目的にしている。
「ワークショップでは私たちが設定した世界観の中で、子どもが自分自身を表現することに没頭する機会を与えたいと思っています。私たちが踊ると子どもたちがそれをマネして私たちの動きについてくるんです。こうした子どもたちの反応に親はとても驚きます。子どもが新しい動きをしたら、私たちがそれを繰り返し新しい動きをします。こうした遊びによって子どもが何を好きかを知るキッカケになっています」
ヴィカはこのワークショップに参加して子どもたちと接する機会が増えたことで、子どもたちが大人と同じように戦争について理解しているということに驚いたという。
「2014年に起きたウクライナ紛争以降に生まれた子どもたちはずっと戦争の禍中に生きています。私たちは戦争以前と戦時中とを比べることができるけど、子どもたちは生まれてからずっと爆音、殺し合い、人が死んでいく恐怖の中での生活しか知らないのです」
ワークショップをともに行なう39歳のオクサナはヴィカと共に子どもたちへのダンス指導を行なっている。彼女自身にも子どもがいて、「今の状況下で子どもとどう関わればいいのか?」「どうすれば子どもたちと双方的な関係を作れるのか?」ということに興味があったという。
「ワークショップを通して、私たちが団結することで子どもたちには“キーウで生きている”ということを感じてほしいと思っています。今も多くの人がキーウで生活していますが、必ず自分たちには未来があると信じて、その喜びを感じてほしいです。大事なことは子どもたちに希望を持たせて、いい未来を与えてあげることです」(オクサナ)