誰もが情報戦争の戦闘員…さらに進化するSNS上の「いいね戦争」

2022年11月10日午前の記者会見で松野博一官房長官(当時)は、ウクライナで日本人義勇兵が死亡したとの情報がSNSなどで拡散されていることについて「情報があることは承知している。現在、在ウクライナ日本大使館が事実関係の確認を行なっている」と述べました。

翌11日午前の記者会見では、戦闘に参加していた20代の邦人男性が現地時間9日に死亡したと語りました。ロシアのウクライナ侵攻による日本人の死者は初めてとみられます。このように、SNSの情報は既存の報道よりも早く伝わり拡散することが多いのです。SNSは、報道関係者が入り込めないような危険な地域も含め、世界各地に特派員を派遣しているようなものです。

しかし、情報を安易に発信、拡散できるため、正しい情報だけでなく虚偽の情報も拡散しています。ここでは、SNSを活用した戦い「いいね戦争」と「ナラティブの戦い(バトル・オブ・ナラティブ)」について紹介したいと思います。

「いいね戦争」とは、軍事研究とSNS研究の第一線で活躍するP・W・シンガーとエマーソン・T・ブルッキングが、多数の事例をもとに新たな戦争の実態を解明した本のタイトルにもなっています。

米国大統領選挙、イスラム国の動向、ウクライナ紛争(2014年)、インドの大規模テロ、メキシコの麻薬戦争など国際政治から犯罪組織の抗争まで、SNSは政治や戦争のあり方を世界中で根底から変えてしまいました。

「ロシアに蹂躙された失地を回復する」「ネオナチにウクライナが支配されている」ウクライナvsロシア「SNSいいね戦争」にみる両国のSNS運用の決定的な違い_1
すべての画像を見る

インターネットは新たな戦場と化し、そこで拡散する情報は敵対者を攻撃する重要な手段となりました。誰もが情報戦争の戦闘員になり得ます。そして、その「いいね!」や「シェア」が破壊や殺戮を引き起こすのです。

いまやこの戦場で人々の注目を集めるべく、政治家やセレブ、アーティスト、兵士、テロリストなど何億人もが熾烈な情報戦争を展開する事態になっています。ロシア・ウクライナ戦争で「いいね戦争」は、さらに進化しています。