「疑わしきは注意喚起をするなり、回収なりすべき」

小林製薬が健康被害の発生と、製品の自主回収方針を公表したのは資料提供からちょうど一か月後の3月22日。阿部医師はこの時初めて全国で被害が出ていることを知ったという。

「(他に被害者がいるとわからなかったため)この(板橋病院の)近辺で売られているサプリだけに紅麹以外の有害物質が入ったのかと思っていましたが、全国で報告があったということで驚きました」

巣鴨で取材に応じる消費者(撮影/集英社オンライン)
巣鴨で取材に応じる消費者(撮影/集英社オンライン)
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小林製薬が最初の被害情報の入手から2か月以上発表をしなかったことについて阿部医師は「原因物質が特定できなかったと思うので、時期についてはすごく遅いとは感じていません」と一定の理解を示す。

ただ、3月29日の記者会見で小林章浩社長は「会社独自のガイドラインで製品の回収は健康被害との因果関係が把握できれば行うと決めている」と説明している。これには阿部医師は「やはり、疑わしいと思って時点で、まずは注意喚起をするなり、回収するなり、そういった情報提供をするべきだと思いますね」と苦言を呈した。

さらに、そもそも健康増進をうたうサプリメントで健康被害が起きたことに「安全性を十分調べずに発売されているものがある可能性はあります。年一回などの抜き打ち検査で有害なものが入っていないかチェックをする機構があった方がいいのではと思います」と不信を隠そうとしない。

板橋病院に入院した3人の女性は幸い退院することができたが、これらの症状が出たら通常は半年から1年は通院が必要と考えているという。

「腎臓の異常は尿の泡立ちや匂いくらいでしかなかなか気づくことが出来ません。尿の泡立ちは蛋白が含まれていることが原因です。ほかに、尿潜血があれば、尿は真っ赤ではなくウーロン茶とかコカ・コーラのような色になると表現されることが多いです。

腎機能障害が慢性化すると回復は難しいので、心配なら医療機関で受診し尿検査と血液検査を受けてほしいです」

※「集英社オンライン」では、今回の“「紅麹」をめぐる健康被害について情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。

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取材・文/集英社オンラインニュース班