「ドン」の辞任も今後の影響力は維持?

小林一雅会長はアイデア製品を次々と生み出し同社の規模を拡大し、「中興の祖」「ドン」と呼ばれている。最近まで息子の章浩社長よりも大きな力を持つとみられていた。その一雅氏は「特別顧問」の名誉職に、章浩社長は補償担当取締役に就き、後任社長には8月8日付で山根聡専務が就任する。

ただ一雅氏は同社の大株主で、実際に経営に口出ししなくなるかどうかは不透明だ。同社は小林父子の人事は健康被害に関する行政への報告や公表が遅れた責任をとるためだと明言。山根氏にも責任があるとし、章浩氏とともに6カ月間の役員報酬の一部を返上させると公表した。

サプリの健康被害は3月22日に同社が発表して明らかになったが、サプリ自体の安全性とともに発表までの同社の対応も強い批判を浴びてきた。

小林製薬が自主回収すると発表したサプリ(小林製薬公式Xより)
小林製薬が自主回収すると発表したサプリ(小林製薬公式Xより)
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「小林製薬は1月15日にサプリを飲み腎疾患で入院した人が出たとの報告を医師から受け、さらに2月27日までに6人が入院したことを確認していたのに使用中止を呼びかけなかったのです。発表するまでの間に摂取を続け重症化した人がいる可能性は高いとみられています。

にもかかわらず、これまで会社が公表の遅れの不備を公式に認めたことはありませんでした」

そう話す在阪記者はその理由を解説する。

「3月29日の記者会見で小林章浩社長は、同社のガイドラインは“製品と健康被害との因果関係が把握できれば製品を回収する”と定めていると説明しました。しかし、原因が特定できなくとも、自社製品を口にした人の中で健康被害が出ていることが疑われれば、まずそのことを公表し回収を始めるのが常識だと思うのですが。

小林社長は『一番大事なのは因果関係。(健康被害の件数が)4、5件あったが(サプリとの)因果関係はわからなかった』から、回収判断をすぐに出さなかったことはやむを得なかったと主張しました」

小林章浩社長(写真/共同通信社)
小林章浩社長(写真/共同通信社)

ちょうどこの会見のさなか、厚生労働省が紅麹コレステヘルプや原料から青カビの天然化合物である『プベルル酸』が検出されたとの報告を小林製薬から受けたと公表し、それまで会見の中でこの事実を口にしなかった小林社長らはさらに突き上げられることになった。

「プベルル酸は厚労省の分析で腎障害を引き起こすことが確認されました。プベルル酸は紅麹から生まれることは考えにくい物質ですが、同社の大阪や和歌山工場の製造ラインから青カビが検出され、この青カビを培養するとプベルル酸が生成されました。工場の衛生管理の不徹底による異物混入が原因とみられています」(社会部記者)