高額納税者番付では上位の常連だった“華麗なる一族”

同社は小林忠兵衛氏が1886(明治19)年、名古屋市中区に創業した雑貨・化粧品店「合名会社小林盛大堂」を母体に、大正期に大阪で小林吉太郎氏を初代社長に「株式会社小林大薬房」としてリスタート。

1960年代に外用消炎鎮痛剤「アンメルツ」や水洗トイレ用芳香洗浄剤「ブルーレット」などのヒット商品を開発し、1976年に一雅氏が四代目社長に就任すると、「糸ようじ」や「あせワキパット」、入れ歯洗浄剤「パーシャルデント」、「熱さまシート」、コンタクトレンズ装着者用の洗顔薬「アイボン」など大ヒット商品を次々と世に送り出してきた。

従業員数1600余人、2022年12月決算期の売上高は1321億円を超え、全国の医薬品製剤製造453社中29位にランキングされる。

記者会見に臨む小林章浩社長(写真/共同通信社)
記者会見に臨む小林章浩社長(写真/共同通信社)
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一雅氏は現在、取締役会長を務め、長男の章浩氏は「六代目」社長。「小林家」は芦屋市内に邸宅を構え、高額納税者番付では上位の常連だった“華麗なる一族”だ。

「芦屋の豪邸は20年ほど前に建てられた白壁の巨大な洋館で、今は会長さんが住まれていますね。あのあたりは“日本のビバリーヒルズ”と呼ばれる超高級住宅地で、歩いている人なんてほとんどいない。章浩さんの自宅は登記簿上では神戸市内の高級マンションのようで、こちらも名だたる社長が住んでいる、われわれ一般人とは別世界の住人です」(関西在住のフリー記者)

小林製薬(撮影/集英社オンライン)
小林製薬(撮影/集英社オンライン)

高額納税者公示制度は犯罪被害抑止などの名目で2006年(2005年度分)に廃止されたが、2000年5月に公開された大阪国税局管内の近畿二府四県の「番付」で当時小林製薬の社員だった章浩氏が3億8170万円を納め、4位に食い込んでいる。自社株の譲渡益が所得の中心だったとみられるが、この年トップの任天堂社長の納税額6億3532万円と比べても遜色ない、堂々たる数字だ。