部下から「HG」と呼ばれている長谷川議員

「失礼しますっ」

参議院議員会館の長谷川議員の事務室前に緊張した面持ちで並んでいたスーツ姿の4名の男性は勢いよく頭を下げ入室していった。文春オンラインにて“パワハラ音声”の速報記事が報じられた翌日のことである。政治部記者が語る。

「報告のために参議員議員会館を訪れる、通称『HG(長谷川岳)参り』の行列は政治部記者の間では有名ですね。以前から先生から呼び出しを受けて職員室に恐る恐る入る生徒のように、大の大人が萎縮して入室していくので異様な光景だと言われていました。

一般的に議員を訪問する人は、陳情を聞いてもらいに来ることがほとんどなので自分から望んで会いにきます。しかし、HGの部屋前には明らかに嫌々来ている様子の人がいつも並んでいました。まさかパワハラ疑惑報道が相次いでいる最中にもHG参りが敢行されるとは思いませんでしたね」

「職員室に呼び出された生徒のようにブルブル震え…」札幌市職員が脅える“HG(長谷川岳)参り”緊迫の一部始終を取材班も目撃〈吉幾三が“パワハラ議員”を暴露〉_1
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この日は札幌市役所の管理職が長谷川議員に挨拶をするためにだけに北海道から上京してきたという。15分ほどで長谷川議員の部屋からほっとした様子でゾロゾロとスーツ姿の男性たちが退室してきた。札幌市役所の職員が溜息をもらす。

「4月1日の人事異動にともない町田隆敏副市長をはじめ、まちづくり政策局長や納事業担当部長、広報担当部長など全員で10名以上が上京しています。とってつけたような仕事を他にも作っていますが、実際は長谷川議員に挨拶するためだけに東京に行っていて、そんなことに税金を使うのかと呆れてしまいます。

長谷川議員を『HG』という隠語で呼ぶのは札幌市役所の人間だけではありません。彼は誰にでも平等に横柄な態度で接するので、北海道銀行や北海道電力などの地元の有力企業の人なども陰でこう呼んで揶揄しています」

長谷川議員の肝いりであるGX担当部署などでは残業時間が月に100時間を超えるほか、長谷川議員から、机を叩いて「うるさいっ」などと声を荒げて叱責されるなど、精神的に追い詰められている職員が少なくないという。別の札幌市役所職員が証言する。

「GX担当部署が発足したのは約1年前でしたが、HGは最初からとにかく横柄でした。党内で自分より立場が上の人間には丁寧に接するようですが、それ以外は初対面だろうが目上だろうが関係ありません。自分の物言いによって他人が不快になるなどとは考えられないタイプの人なのでしょう。

GXプロジェクトの主力の職員でA氏という方がいたのですが、3月に突然『家庭の事情で』と道庁を退職しました。とても優秀な方で将来を期待されていた逸材です。彼はHGと関わることがもっとも多く、一番被害を受けていた方なのでパワハラに耐えられなくなって退職したのではと噂になっています」

この職員はGX担当部署において長谷川議員のみが裁量権を持っているという構造に問題があると憂慮する。

 

 

HGこと長谷川岳氏(本人SNSより)
HGこと長谷川岳氏(本人SNSより)

「話し方は常に高圧的なのですが、元衆議院議員の豊田真由子氏のようにわかりやすく『このハゲ―』みたいな言い方はしません。ただ、とにかく上からの強い口調で1時間近くこんこんと詰められるという感じです。そして、いくら懸命にやってもHGの思った通りにことが進まないと途端に不機嫌になります。

資料を集めたら『足りない、やり直しだ』と言われ、事業の方向性に沿って動いても『スピード感が足りない』と言われます。もともと無茶なスケジュールで要求しているにも関わらずです。市役所の役職の方たちも部下を守るどころか、とにかくHGの機嫌を損ねないことに必死になっています」