ブームより「絶妙な安定性」も長寿番組の秘訣
そしてもう一つ要素をあげるとすれば安定性である。人気は集めなくてはならないけれど、劇的にブームになりすぎてはいけない。
ドカンとブームが来る番組はどうしてもそのピークが基準になり「パワーが落ちた」とか「おもしろくなくなった」とか「視聴率が低下傾向」とかいろんなことを言われがちである。
そうすると焦って変なリニューアルをしたりと墓穴を掘ることになる。
1社提供の番組は割と長寿が多いといわれるが(たとえば塩野義製薬『ミュージックフェア』(フジテレビ系列)は1964年から60年、資生堂『おしゃれ』(日本テレビ系列)シリーズは1974年から50年の歴史)、これもスポンサーの求めることや、提供したい価値観が明確で、いろんなことに一喜一憂せずに番組が作れるというところからであろう。
かならずしも1社提供=長寿とは限らないが、作り手の心の平安は番組の安定にもつながるというのもこれまた真である。
『ネプリーグ』を長寿番組に押し上げたネプチューンの貢献
そんな中、こういった長寿番組の話題ではあまり話題にのぼらないステルス長寿番組がある。
それは『ネプリーグ』(フジテレビ系列)である。
みなさんは『ネプリーグ』がゴールデン進出後19年、深夜時代も含めると21年の歴史をすでに持つことにお気づきであろうか。なんかずっとやっているなという意識はあるだろうが、そこまで長いとは思っていない人が多いのではないだろうか。
しかし今回の『世界ふしぎ発見!』終了により、『ネプリーグ』が、放送中のクイズ番組の中で最長寿番組となってしまった。
『ネプリーグ』はとにかくフォーマットが変わらない。細かいリニューアルはなくはないが、ファイブリーグ、ファイブボンバー、トロッコアドベンチャーなどはいまだにほぼ毎週やっている。
やることがマンネリで、出演者も同じで、しかもクイズ番組だとかなり飽きられそうだが、そこが飽きられないのはフォーマットのできのよさに加えて、解答者としてのネプチューンの絶妙さがある。
ネプチューンの面々はそれぞれ勉強しすぎたり、しなさすぎたりすることなく、適度にチームを救い、適度にチームに迷惑をかける。年齢を重ねているにもかかわらず、毎度変わらずハラハラさせてくれるし、名倉潤は「ほんまゴメン」とファイブボンバーで謝る。この匙加減が素晴らしいのだ。