「コメができる以前の現状で完売しております」

栃木県さくら市で約25ヘクタールの大規模な「岡田農園」を運営している岡田伸幸代表にさまざまな疑問をぶつけてみた。まずはコメ価格の高騰が続く中、今年の新米の予約状況はどんなものか。

「通常『完売』というと物ができてきてそれが売り切れることを指すのですが、コメができる以前の現状で(この秋に収穫するぶんが)『完売』しております。業者から『面積でとれる分をすべて買う』とオーダーされ、契約しています。従前からそういう契約をしてくれる業者もあったのですが、今はどこもかしこもがそういう言い方をするようになりました。

だから個人のお客さんの分をどう確保していくかを考えています。例年と比べると個人客が2割、3割は増えた感覚があり、先日は近所の工場に勤めているベトナムの留学生の子たちが『運転免許を持っていないから車でコメを買いにいけなくて困っています』と訪ねてきました。

そういう事情なら転売目的ではないでしょうから『わかったよ。転売はしないんだね? 今の市場の価格を理解した上で買ってくれるならいいよ』と応じました。あとは古くからの個人のお客さんに『親戚の分も頼みたいんだけどいいかなあ』とお願いされる形も増えています。農協(JA)は逆にもう在庫もないだろうし売ってもらえないと思っているのか、ウチには来ていませんね」

農薬散布に使用するドローンと岡田社長(撮影/集英社オンライン)
農薬散布に使用するドローンと岡田社長(撮影/集英社オンライン)
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農協の概算金(各農家からコメを集荷する際に払う前払い金)ベースは60キロ23000円~25000円と高騰が続いている。岡田農園の販売価格はどの程度になりそうか。

「古くからのお客さんに関しては、昔は高く買ってくれてた部分もあるので、そこまで負担をかけないように工夫しています。肥料、農薬、機械などの物価が上がりすぎててウチもしかたなく値段を上げさせてもらいましたが、それでもスーパーの店頭価格よりはるかに安い価格でやっています。新規のかたに関しては相場、一般的な自主流通米の価格にあわせるという感じですね」