高校を卒業する私には「そのまま行け」と言いたい

──事務所に所属したのが高校卒業の直前だったんですよね。当時、役者になるという夢に対して、不安はなかったですか?

あったと思いますけど、根拠のない自信もあって(笑)。表現が本当に楽しかったから、それをずっとやりたかったし、成功か失敗かの二択だとも思ってなくて。とりあえず始めるために事務所に所属しようって考えたから、そこまで怖気づいてなかったんだと思います。でも、先生や友達や親には「大丈夫なの?」ってたくさん言われましたね。

取材はTBS局内で行われた
取材はTBS局内で行われた

──じゃあ高校の卒業は、さびしいというより、未来に一歩を踏み出すというポジティブなものでしたか?

そう感じたのを覚えてますね。高校の卒業式も、ちょっと変わってたんですよ。声を出していい卒業式だったから、静かな式ではなくて。みんな頭に花冠をつけて参加して、卒業証書授与でも、たとえば「河合優実さん」って名前を呼ばれたら、「優実ー!」「キャー!」って歓声があがって。「バイバーイ! 頑張ろうね、これから!」って、みんなと明るくお別れしました。

──めっちゃ青春ですね! 今、こうして俳優として夢を叶えている河合さんが、高校の卒業を控えた頃の自分に声をかけるとしたら、いかがですか?

なんだろう……「不安にならないで、そのまま行け!」ですかね(笑)。ちょうど俳優を始めるときだったので、「そのまま行けば大丈夫だよ」って言いたいです。

「不適切にもほどがある!」の純子役・河合優実が向き合う、令和も昭和も変わらない価値観「純子は自分より立派だなと思うこともあります」_4

文化祭がなかったら役者をやってない

──高校卒業後に大学の演劇科に進まれますが、そこから役者のお仕事が本格化していったんですか?

そうですね。それに大学2年のときにコロナ禍になって、いわゆるキャンパスライフを経験できたのは1年だけだったんです。でも、私より1、2学年下の子たちは当時、まだキャンパスに行ったことがないという話もしていたので、かわいそうでしたね。

──河合さんの高校時代にコロナ禍が重なったら、まったく違う高校生活になっていそうですね。

文化祭もなかっただろうから、コロナ世代だったらこの仕事に就いてないと思います。そう考えると、ほんとに多くの人の人生変えてますね、コロナウイルスは。

──自分の表現で誰かの心が動くという感動を味わうことがなかったでしょうね。

なかったと思いますね。別の形ではあったかもしれないけど……でも当時私が体験した感覚がすごくフィジカルなものだったから、自分にとってやっぱり(影響が)大きくて。映画を観て役者になりたいって思う人もいるし、いろんなきっかけがあると思いますけど、私の場合はそれが学校でしたね。

「不適切にもほどがある!」の純子役・河合優実が向き合う、令和も昭和も変わらない価値観「純子は自分より立派だなと思うこともあります」_5