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ツッパリキャラは三原じゅん子オマージュ?

昭和と令和の価値観の違いをコミカルに描く話題のドラマ『不適切にもほどがある!』だが、作品のおもしろさはそこだけではない。

これまでも“ムッチ先輩”こと秋津睦実(磯村勇斗)の風貌や言動から、マッチこと近藤真彦の80年代の絶大なる人気ぶりを表現。また、ドラマ内での架空のセクシー系深夜番組「早く寝ナイトチョメチョメしちゃうぞ」のMC鈴木福助(秋山竜次)は昭和の司会者、山城新伍(ケーシー高峰との説も)を彷彿させたりと、平成世代以降にとっては、昭和のカルチャーや芸能界を垣間見られる貴重な情報源にもなっている。

『不適切にもほどがある!』のポスター(撮影/集英社オンライン)
『不適切にもほどがある!』のポスター(撮影/集英社オンライン)

なかでも、主人公の“ザ・昭和のオヤジ”、小川市郎(阿部サダヲ)のひとり娘、純子(河合優実)のツッバリ具合は、放送当初からSNSなどで「“昭和の不良アイドル”三原じゅん子(当時は三原順子)そのものだ!」との声が上がっていた。

そして、23日放送の第5話だ。市郎は義理の息子、犬島ゆずる(古田新太)との会話の中で、純子のグレっぷりを「ひどいもんだよ。下町の三原じゅん子と言われてる」とこぼす。その三原じゅん子が現在は国会議員であることを聞かされると、「え? 三原じゅん子が? 嘘だ。『セクシー・ナイト』だよ?」と、その意外な転身ぶりに混乱するシーンも。

昭和を生きる人にとってはさぞ衝撃だったようだが、当時の三原じゅん子はいったいどんな存在だったのか。アイドル文化に詳しいフリーライターの堀越日出夫が解説する。

「週刊明星」(1980年9月14日発売号。撮影/今津勝幸)
「週刊明星」(1980年9月14日発売号。撮影/今津勝幸)

「彼女は松田聖子や河合奈保子と同じ“80年組”ですが、いわゆるアイドルとは違う女優路線。当時、一世を風靡した『3年B組金八先生』(第1シリーズ。1979~80年放送)ではツッパリの女生徒、山田麗子を演じました。金八先生に出演する生徒はほぼ素人が多いなか、劇団所属で子役として活動していた三原じゅん子は演技のレベルが違い、大ブレイク。
1980年の歌手デビュー曲『セクシー・ナイト』も大ヒット。彼女の楽曲の中で最大のセールスとなりました」