AIがつくった作品に価値を感じられるか?
「AIを使っているとわかった作品には、あまり価値を感じない」
「クリエイターがAIを使っているのを見ると、複雑な気分になる」
「良いイラストを見つけたときに、それがAIによるものなのか、人間によるものなのか、確認するようになった」
「AIを使った作品は、人間のつくった創作物と混ざらないように隔離する必要がある」
これらは生成AIブームの開始から現在にいたるまで、SNSなどで実際に見られている反応です。
実際には、創作のなかに「なんらかの生成を行うAI(機械)で生み出された要素」が混じっているという事態は、そこまで特別なものではありません。シンセサイザーやボーカロイドなどは、そもそものコンセプトとして機械的な音声合成を行うものですし、数年前から存在するイラストの自動彩色も、現在の生成AIと呼ばれているものと本質的には同じ(大量の著作物からニューラルネットワークを学習し、出力が生成的)です。
上記の反応は、生成AIによる生成物が、人間が生み出す作品と表面上は見分けがつかないレベルに達して初めて表面化したものと言えるでしょう。
これは人類史上で例がなかった事態であり、このような反応のもとになる人間の価値観が長期的にどのようになっていくかは、筆者も(そして人類の誰にも)正確な予測は困難です。
一方、AIが生み出したコンテンツに対する現在のわれわれの価値観に関しては、生成AIブーム以前と以降に出た2種類の興味深い研究があります。これらの研究で得られた結果は、長期的なわれわれの価値観を考えるうえでヒントになるかもしれません。