アパレルとは異なる化粧品特有の消費行動
一方、化粧品の販売は、「ECに顧客を獲られるのではないか?」という懸念がある。
アパレルの実店舗がZOZOTOWNに顧客を奪われている現状を見れば、そう考えるのも当然だ。しかし、化粧品に限っては、その可能性は低そうだ。
NTTコムリサーチが行った調査(「化粧品購入行動に関する調査結果」)によると、化粧品の購入場所でドラッグストアと回答した人の割合は実に84.1%に及んでいる。これは2022年の調査だが、3年前に行ったものでもその割合は83.0%だった。コロナ禍で購買行動がデジタルに移行した期間を経てもほとんど変化していない。
購入前に経験したことを聞いた質問においては、「店舗に置いてあるテスターで試してみた」との回答が34.6%と最も高い。化粧品は直接肌につけるもののため、実際に試したいと考える消費者が多いのだ。これは、アパレル系のECサイトに掲載された写真で、それを着用するイメージを膨らませる購買行動とは明らかに異なる。
試供品をわざわざサイトで取り寄せ、実際に試して購入するか決めるというのも、手間がかかりすぎるだろう。経営統合する前のマツモトキヨシは、かつて業界トップを走り抜けていた。再び1位に返り咲くことができるのか注目だ。
取材・文/不破聡