インフレを乗り越えて原価率は改善済

今回の価格改定に対する市場の反応はポジティブだった。値上げを発表した1月12日の日本マクドナルドホールディングスの株価は6460円だった。1月17日には一時5.9%高い6840円をつけた。その後も堅調に推移している。

マクドナルドはコロナ禍でも成長を続けた数少ない外食企業の一つ。コロナ禍のまっただ中だった2020年12月期でさえ、2.3%の増収となっていた。2021年、2022年の各12月期の売上高はそれぞれ1割増で成長している。

日本マクドナルドホールディングス業績推移 ※決算短信より筆者作成
日本マクドナルドホールディングス業績推移 ※決算短信より筆者作成

2023年12月期の売上高は前期比7.6%増の3790億円を予想している。もともと3740億円を見込んでいたが、2023年11月10日に上方修正を発表した。

なかでも注目したいのは、本業で稼ぐ力を表す、営業利益率だ。

マクドナルドは原材料やエネルギーの高騰に見舞われた2022年12月期に営業利益率が前期より1.3ポイント低い9.6%となった。マクドナルドは値上げで原材料高を抑え込もうと試みたが、原価率が80.0%から81.7%に上がっており、インフレの影響を転嫁しきれなかった様相がわかる。

しかし、さらなる値上げで2023年1-9月の原価率は80.5%まで下がった。これは記録的な物価高に見舞われる前とほぼ同じ水準となったのだ。

営業利益率は11.5%であり、この数字は2021年1-9月に迫るもの。この時期はコロナ禍の特需に見舞われており、営業利益率は12.7%だった。2019年同期間の営業利益率が10.3%である。マクドナルドの稼ぐ力は、インフレを乗り越えてすでに回復している。