ゼンショーはコロナ禍でも店舗拡大を継続
ゼンショーホールディングス2023年4-6月の牛丼事業の売上高は前年比24.5%増の616億7100万円、営業利益は同2396.3%増の37億900万円だった。すき家は2021年12月の値上げ以降、一時集客に苦戦した時期もあったが、見事立ち直った。
吉野家ホールディングスの2023年3-5月の牛丼事業の売上高は前年同期比6.9%増の296億6600万円、営業利益は同6.0%増の15億7300万円だった。回復はしているものの、営業利益率はすき家に0.7ポイント及ばない。
松屋フーズホールディングスは2023年4-6月の牛丼やとんかつ部門を含む会社全体の売上高が前年同期間比12.6%増の281億円となったが、3800万円の営業損失を出した。前年同期間は2億6800万円の営業損失だったため、赤字幅は縮まっているものの、苦戦が続いている。
店舗数もゼンショーの牛丼部門に属する店舗数は2022年度の段階で3000を超えており、他2社を圧倒している。業界2位の吉野家の店舗数は1197だ。(2023年10月現在)しかも、すき家は3社の中で唯一コロナ禍において店舗数が拡大した。
コロナ禍でも客数は90%台で推移
すき家の強さは、3つの要素に集約される。
1つ目は都市部、地方都市、ロードサイドなど幅広いエリアをカバーする出店戦略。
2つ目は出店戦略に紐づく強力なメニュー開発力。
3つ目は店舗オペレーション力だ。
ゼンショーは「世界から飢餓と貧困を撲滅する」という企業理念を掲げ、食のインフラを構築することをモットーとしている。あらゆる地域で安全かつおいしい食事を提供することを使命としているのだ。この企業としてのあり方が、コロナ禍という飲食店の未曽有の危機を回避した。
下図はすき家、吉野家、松屋フーズ全業態の既存店の客数の推移だ。前年同月との差を表している。2020年のすき家は90~100%程度で推移している。80%台に沈んだのは、コロナ禍で日本初の緊急事態宣言が発令された4月だけだ。
一方、松屋は一時70%台まで落ち込み、吉野家は80%台で推移していた。2020年3月から2020年12月までの平均ではすき家が94.5%、吉野家が89.6%、松屋が82.1%だ。吉野家と松屋が10~20%まで客数を減少させているにも関わらず、すき家は5%の減少に押しとどめた。