低体温症に注意。直接床に触れない工夫を
古本氏は2016年に発生した熊本地震直後から復興支援に携わっており、高齢者の健康、物流、災害復興の専門家でもある。能登地震発生直後から「経験と知識を役立たせたい」と、集英社オンラインに情報提供を申し出てくれた。
古本氏がまず指摘する被災者への懸念事項は、「低体温症」だ。
低体温症とは、脳や臓器など体の奥の深部体温が35度以下となる状態。身体機能が正常に保てなくなり、体が震えたり、意識がもうろうとしたりするなどの症状が出るほか、最悪の場合は死に至る恐れもある。
石川県の能登地方を含む被災地では、この連休中も大雨や大雪が予想されている。厳しい寒さに加え、相次ぐ停電や物資の不足などで避難者が十分に暖を取れていない状況だ。
古本氏は「避難所などに使われる体育館の床は冷たく、体温が奪われやすい。寝るときだけでなく、座るときも床に段ボールや毛布を重ねて敷くなど、なるべく床に直接触れないようにしてほしい」と指摘する。
体温を下げない工夫として、手袋やマフラー、帽子を着用するなど、とにかく外気に触れる部分を少なくしたり、洋服の中に新聞紙をはさんで入れたりするのも効果的だそうだ。また、ストレッチや屈伸などの適度な運動、栄養補給や水分補給も体温を上げるのに有効だ。
「ふだんと様子が違ったり、呼びかけても反応が遅いというのも低体温症の予兆の一つ。さらに、体の震えが止まらなかったり、手足が冷たくなっていたりすることもある。特に子どもなどは自分で症状を伝えることが難しい場合もあるので、周りの大人が気にかけて、異変を感じたらすぐに避難所の責任者に知らせるなど対応をとってほしい」(古本氏、以下同)
「周りの人に迷惑をかけるかも、とか、まだ我慢できる、などと思わずになるべく早く対応してもらうことが重要」とも古本氏は言う。