高校野球のユニホームに色の規定なし
甲子園の開会式。それは厳かな式典であると同時に、出場校のユニホームお披露目のファッションショーでもある。
8月5日に阪神甲子園球場で開幕した第107回全国高校野球選手権大会。開会式でひときわ観衆の目を惹いたチームがあった。それは栃木県代表の青藍泰斗(せいらんたいと)である。
上下とも鮮やかな青地に、白いストライプが走る。胸には白文字で「青藍泰斗」の刺繍が施されている。甲子園に集まった高校野球ファンはどよめき、インターネットユーザーは「青すぎる」と沸き立った。
青藍泰斗が甲子園に出場するのは、旧校名・葛生(くずう)時代から数えて35年ぶり。ただし、ユニホームの歴史は浅い。
スクールカラーが青ということから、昨秋にユニホームのデザインを一新した。8月9日には佐賀北(佐賀)と甲子園初戦(1回戦)を戦う。青藍泰斗のユニホームは大きな話題になるだろう。
意外と知られていないことだが、高校野球のユニホームに色の規定はない。ただし、日本高校野球連盟が定めた「高校野球用具の使用制限」には、次の一文がある。
〈シャツとパンツは同一カラーでなければならない。(ツートンカラーは使用できない。)〉
つまり、シャツとパンツで色を変えることができないのだ。
過去の甲子園出場校のなかにも、ユニークなユニホームが登場してきた。特に新興勢力は学校自体をアピールしたい思惑もあってか、個性的なデザインになりやすい印象だ。
野球部創部1年4カ月で2002年夏に甲子園初出場を果たした遊学館(石川)。「サンドピンク」と呼ばれる薄いピンク地のユニホームは、異彩を放った。なお、当時は胸のマークを刺繍にするチームが主流だったが、汗や雨を吸うと重くなるデメリットがあった。遊学館は胸の「遊学館」の文字をプリントにした点も革新的だった。
その後、遊学館のユニホームはサンドピンクからシャンパンゴールドにリニューアルしたものの、傍目には変化が感じ取りにくかった。石川県の高校野球ファン複数人に聞き取りをしたが、今も「ピンク」と認識している人が多いようだ。
すでにデザインは変更されているが、青藍泰斗よりも早く「真っ青スタイル」を導入したのは文徳(熊本)だった。1997年夏に甲子園に颯爽と登場。上下とも青地で、胸に白文字で「文徳」と入っていた。当時も野球ファンに奇抜な印象を与え、いまだに記憶している人も多いだろう。
プロ球団を模したユニホームで有名なのは、横浜隼人(神奈川)だ。水谷哲也監督が熱心な阪神ファンということもあり、白地に黒のストライプと黄色のラインが入ったデザイン。帽子のY(横浜)H(隼人)をあしらったロゴマークは、本家のH(阪神)T(タイガース)のマークとうり二つだ。