〝愛情〞に培われた学歴至上主義という毒
中学校受験や小学校受験をさせる家庭はいまや珍しくない。子どもの将来を考え、少しでもよい教育を、よい学歴をと願う親の気持ちは誰も否定できないだろう。しかし、それが親のエゴとなってしまっているとしたらどうだろう。
「勉強こそが世の中を見返せる術」という強烈な学歴至上主義の母親を持つ30代の女性の青山さんの事例を紹介する。
小学生の頃から家庭教師や塾に月100万円ほどつぎ込まれていた彼女は、自分が母親になったとき、勉強をしない3歳の娘に怒りが湧く自分にはっとした。
毒親は自分が正しいと思った道を突き進んでしまう…
毒親の多くは自分が間違っているとは思わないため、心から謝れない人が多い。
子どもに謝ることができるということは、子どもを自分の所有物扱いをしていないという意味でとても重要なことだ。青山さんの母親も、「子どもに心から謝れない」親の一人だった。
青山さんの中学の同級生で医師になった友人は、青山さんの母親のこともよく知っている。
その友人は、「お母さんは境界性パーソナリティ障害ではないか」と言い、青山さん自身も、「母は境界知能かつ発達障害ではないか」と考えているという。
「でも、毒親=発達障害というわけではなくて、メタ認知というんでしょうか。普通の人は自分をこう、俯瞰して、客観的に見るじゃないですか。子育ての場合も、初めてのことで不安だったら、他のご家庭はどうしているんだろうとか考えて、ママ友を作ったりとか、本を読んだり調べたりとかしますよね?
けど、母もそうですが、毒親にはそれがなくて、自分が正しいと思った道で、自分が持ってる古い情報のまま突き進んでしまう。
だから、男女交際の場合も、母は自分の母親に教えられたままアップデートされていなくて、『何かあったらお嫁に行けない』みたいなそういう田舎の古い考えのままでお見合いをさせたりする。それって多分、母に仲の良い友だちがいて、情報がアップデートされていたら、また違ったと思うんです」
母親は青山さんが知る限り、青山さんが物心ついたときから今日まで、1人も友だちがいない。
「私が成人してから母に、『私は田舎で生まれて、封建的な価値観で育ったから、男女交際についてわかってあげられなかった。ごめん』みたいな感じで謝られたことがあるんですが、基本的には多分、母は自分が悪いと思っていなくて、間接的に祖母のせいにしてるんですよね」