5歳児にサイン・コサインを学ばせる高学歴親
いまの時代、高学歴親ほど、子どもに早期教育を施そうとします。ひとりっ子の場合などなおさら、「絶対に失敗できない」とばかりに、小さいころから幼児教室に通わせたりします。
たとえば、3歳の子どもに九九を教える幼稚園がありました。毎日唱えさせると、本当に言えるようになるのです。
「うちの子はサイン・コサインでつまずいちゃって」
そう困ったように話すお母さんの息子は5歳だそうです。するともうひとりの方は「二次関数で、もうダメよ」と言うのです。本当に二次関数?と疑いたくなると思いますが現実です。
子どもたちは内容を理解せず単に暗記しているだけ
5歳のサイン・コサインも二次関数も、3歳の九九も、私に言わせればほとんど意味がありません。子どもたちは内容を理解せず単に暗記しているだけです。親御さんたちも「何のためにこれをやるか」と振り返れば、自ずと答えが出るはずなのですが、そこに気づきません。
ひとりのお母さんは「この子の幸せのためにやっている」と答えました。わが子に良かれと思ってやっているのです。
「将来困らないように今からやっている。それの何が悪いの?」
そう考えてしまうのです。しかしそれでは、子ども時代の「今」が人生最高点に達する子を育てることにならないでしょうか。
早期教育に精を出す高学歴親の方々と、私とで一致する意見もあります。それは「子どもは可能性のかたまりだ」と考えている点です。
ただし、方法論が違います。わかりやすく言うと、そういう親御さんたちは「脳を育てる順番」を完全に間違えています。この「順番」を間違わなければ、子どもの可能性を引き出せるはずなのに。