閉鎖、合併で教育困難校はなくなっていくが…

発達障害に家庭問題が加わって困難を抱えた子どもたちへの対応は、医療や心理の専門家でも難しい。それを教員がすることは、現実的ではないだろう。だが、教育困難校では、それが実際に起きているのだ。

司書の女性はこう語る。

「地方では、少子化もあって教育困難校は閉鎖や合併に追い込まれています。都会では定時制や通信制といった受け皿があるかもしれませんが、地方ではそうした子どもたちは定員割れしているワンランク上の学校に行くことになる。そうなると、それまでは教育困難校とまではいかなかった学校にまで混乱が生じる可能性があると思います」

地方では偏差値50前後の学校であっても定員割れして受験生をほぼ全員受け入れているという現実がある。特に私立高校はそうだ。そういう意味では、彼女の懸念は現実になりかねない。

写真はイメージです 写真/Shutterstock
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前出の校長は次のように話していた。

「教育困難校では、オーバードーズしてフラフラになって登校してきたとか、親にまったく食事をもらっていないので校庭の草を引っこ抜いて食べたという子もいます。そうした現実を踏まえた上で、心理の専門家を2クラスに1人くらい入れるとか、放課後の支援までできるNPOを複数介入させるといったことをしないと、運営していくのは難しい。その負担をすべて教員が背負うのは不可能ですから」

教育困難校の生徒たちは、卒業すれば一人で生きていかなければならなくなる。そうした人たちが社会でつまずいたり、トラブルを起こしたりする可能性は少なくない。

そう考えれば、高校に在籍している最中に、専門家による手厚い取り組みをしていく必要があるのではないだろうか。

取材・文/石井光太

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取材・文/石井光太

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