「詐欺じゃないからいいのか」
その後、クレジットカードの未払いの督促状が実家に届くようになったことは前編で触れたとおりだが、それと同時に、Rと半同棲していた名古屋のアパートの家賃が3、4ヶ月滞納されていることが明らかになる。
「私がアパートの様子を見に行くと、Rがひとりで部屋にいたので、『家賃払ってねぇじゃねーか!』と怒りました。するとその後、家賃は支払われるようになったんですが、今度はふたりで保証人不要の物件に無断で引っ越して。
新しい住所を調べて部屋に向かうと、再びRがひとりでいたのでつい頭にきて『ホストなんて社会のゴミだろ!』と怒鳴ったんです。さすがにそのときばかりはRは不服そうな顔をしてましたね。それをマナミに告げ口したようで、実の娘から着信拒否とLINEのブロックをされてしまいました」
以降、父娘でしっかりと言葉を交わしたことはないが、愛娘を思う気持ちは変わらない。だからこそ娘の人生をメチャクチャにしたRが許せない。
「小さいころから仕事ばかりで『いまさら父親ヅラするな』というマナミの気持ちもわかるのですが……」と前置きして、シゲルさんは言う。
「マナミの使わなくなったスマホ端末などから風俗勤めの決定的証拠となる写真などを目にしてしまったときは、心の中でガラガラと何かが崩れていくような思いでした。Rと出会って一番許せなかったのはこのことだったかもしれません。大切に育ててきた娘を食い物にされたのですから……」
マナミさんは現在、日本より稼ぎがいいという理由で定期的に海外の風俗へ出稼ぎに行っている。
「最初に家を出たときに、私はお金がパンクすれば家に戻ってこざるをえないだろう、という甘い考えがありました。しかし、まさか海外の風俗に出稼ぎに行くなんて…。娘にそんな行動力があるなんて知りもしませんでした。
Rと出会って2年半で娘の人生は180度変わってしまった。私もこれが詐欺や刑事罰にあたらないことはわかってます。でも、詐欺じゃないからいいのか、という思いがあるのも事実なんです」