緊急事態で器が見える
修羅場となるパターンは業種によってもさまざまですが、マーケティング関連でいえば、テレビCMが何らかの事態でオンエア中止になるケースがもっとも大変でしょう。
このような時の原因はさまざまです。表現内容が「不快だ」という視聴者からのクレームが理由になることもあれば、出演タレントの不祥事ということもあります。稀に競合他社からの申し入れや、官公庁からの指導ということもあり得ます。
いずれにしても、最大の課題はどのようにしてマーケティング活動を継続するか? ということです。当該CMがオンエアできなければ、修正や差し替えはもちろん、まったく異なる販売促進手段を考えなくてはいけません。
こういう時にもっともよくないのは、やたらと犯人捜しをすることです。
「そもそもこの演出家を選んだのは誰だ?」とか、「タレントの起用は誰が決めた?」などと言い出してもキリがありません。本来リーダーとして事に当たるべき人がこういう状態だと、やがてこんな指示になります。
「とにかく、何とかしろ!」
そんな指示で済むなら、誰だってリーダーは務まります。ですから、こんなことはあまり起きないと思われるかもしれません。しかし、それを社長が命じて取り返しのつかないことになってしまったケースがあります。
それは、二〇一五年に発覚した東芝の不正会計事件で明らかになりました。