転職は異世界転生ではない!
「もっと収入の良い仕事がしたい」、「福利厚生がより充実した企業で働きたい」、「会社の方針が合わないから……」。転職したいと考えている人は、基本的に人生をより良くするための手段として考えているはず。
しかし、研修講師の岡崎かつひろ氏は「転職はいわゆる異世界転生ではない、ということに気づかないといけません」と冗談交じりに釘を刺す。いくらなんでも転職を夢の世界と混同する人はいないだろうが、異世界に逃避したくなるほど、現実が厳しいことも事実だ。
「今、世の中の景気は“スタグフレーション”。つまり物価は上がっているのに収入は上がっていない、あまりよくない状態にあります。ここ20年間の我々の平均給与で言えば、上がっていないどころか、むしろ下がっているかもしれません。この先も、スタグフレーションはしばらく続くと言われています。
そんな不安定な経済状況の中で、会社が嫌だから辞めるとか、無計画に転職を繰り返すといった考えは、かなり危険です。収入を上げていきたいという理由で転職するのであれば、まず今の仕事でどれだけやり切ったかを振り返るのが第一歩。転職をしてすぐに収入が上がるほど甘くはないということを肝に銘じておきましょう」
転職エージェントの落とし穴
計画的に転職が上手く行けば、収入やキャリアをどんどんアップしていくことも夢ではないのかもしれない。そのためには転職サイトを活用し、転職エージェントの力を借りるのも手だ。だが、この場合にも注意すべき点があると岡崎氏は語る。
「転職エージェントに提示される金額によっては、収入が上がる場合もあるでしょう。ですが、いざ雇われてみたところで、『この人、思ったよりも役に立たなかったな』ということになれば、人は結構シビアに切られていく……という現実を忘れてはいけません。
収入を上げるつもりで転職しても、続かなければ結局キャリアにならない。そのまま転職を繰り返して良い条件を求めたところで、結果はむしろ厳しいものになってしまいます」
基本的に転職エージェントの会社は、クライアントにたくさん転職してもらったほうが儲かる仕組みになっている。そのためエージェントは、転職する人自身の能力に関係なく、とにかく素晴らしい履歴書を作って提案することに命を懸けているわけだ。