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テンションが下がりそうなときは
「なりきり」作用を駆使して、
「なんか、この状況を
逆に楽しんじゃってる」
気持ちになってみる
――― 池谷裕二教授ら脳科学者の研究
ノリがまったく合わない飲み会、必ず帰りが遅くなるとわかっている接待(確実に家族に怒られてしまう)、ゴールの見えない渋滞、電車の遅延事故などなど……人生には、不慮に起きる「これ、明らかに時間のムダだな!」「最悪だな!」という出来事があります。
そんなとき、どうすればいいのでしょうか。
論語に「知之者不如好之者、好之者不如樂之者(これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず)」という一節があります。これは、勉強をして「知っている(知識がある)」という人も、それが好きだという人には敵わない。それが好きだという人も、それを楽しんでいる人には敵わない、という意味です。
まさにこの言葉の通りで、どんな状況も「楽しい!」と感じている人(あるいは、楽しもうとしている人)は人生の勝利者だと思います。
では、置かれている状況が決して好ましくないものだったとして、それでも目の前のことを楽しむためにはどうすればいいのでしょうか。
脳科学者で東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授によると、脳のやる気スイッチを入れるには「なりきる」という方法もあるそうです。つまり、「楽しんでいる自分になりきる」ということです。自分は楽しんでいるのだと脳をだますのです。
接待で偉い人の長話に付き合わされているときは、「こんなに話がつまらないのに、これだけ出世できるなんて、逆にこの人に興味がわいてきた。いったいどんな人生を送ってきたのか質問しよう」、飲み会がノリの合わない人ばかりだったら、「こんな中でもスッと自然に溶けこめる、私は松山ケンイチのようなカメレオン役者」、渋滞がひどすぎたら、「おいおい、いくらなんでもひどすぎ! 笑っちゃうよ! 私、もう歌っちゃおうかな!」といったように、「逆に楽しい!」という気持ちになってみてください。
そうすると、行動も受け身から、ポジティブな能動的なものに変わっていきます。
反対に、「できない!」「無理!」「最悪!」と思ってしまうと、どうしても積極的な行動がついていきません。
「やる気スイッチ」を入れる最大のポイントは、「やり始める」ことですから、その意味でこのなりきりは、「やり始める」ための導入とも言えるでしょう。どんなことも、積極的に取り組んでいくことで楽しさは増していき、受けるストレスは最小限に抑えることができます。
「最悪!」の代わりに、「逆に、楽しい!」を口癖にしてみましょう。この効果をより効果的に発動させるために、自分の中の切り替えフレーズをつくっておくのも良いでしょう。私が教わったのは、次のようなフレーズです。
「ピンチ・ピンチ・チャンス・チャンス・ランランラン!」(歌に乗せながら)
「大変だ! だからおもしろい」
いかがでしょうか?
こんなフレーズを、つくってみてください。