第二次岸田再改造内閣が“宣言”したこと
だが、無役ならまだしも、党副幹事長というのでは一定の権限と影響力が木原氏に残ってしまう。これでは木原氏を表舞台の官邸から目立ちにくい党内へと避難させただけの温情とも言えるわけで、結局、これも内向き人事なのではないか。
マスコミの世論調査で内閣の支持率は低い。その要因は個別の政策への国民の不満だろう。マイナ保険証への強引な移行、増税への動き、原発事故処理水放出の説明不足、後手後手の物価高対策――。
なのに、人事をよく見ると、こうした国民が不満を抱く政策を司る省庁の閣僚の顔ぶれはいささかも変わっていない。その意味することは、岸田内閣としてはこれらの政策の方針を継続させるという宣言に他ならない。
今回の岸田人事は、冒頭のベテラン自民議員が指摘する「内向き」を優先させた人事と言えるだろう。だがこれで本当に、国民の批判をやり過ごすことができるのだろうか。
文/鈴木哲夫