警視庁警護課は50人増員!
入江聖奈のライバルだった元日本代表も
昨年7月の安倍晋三元首相の襲撃事件を受け、今春、SPを擁する警視庁警護課は人員を50人増やし、定員を300人以上にするなど、体制を大幅に強化した。
そのような状況で迎えた今回の統一地方選は、昨年7月の参院選以来、初の大型選挙であり、SPを派遣する警視庁も、地方遊説を受け入れる各地の警察も、入念な準備と人員で臨んだ。
警察庁関係者が和歌山市での警護を振り返る。
「今回、筒状のものが投げ入れられたときに、すぐに首相の体に『防弾カバン』をかぶせたのは和歌山県警の警護員だったそうです。この警護員は、警視庁警護課で1年間、SPの研修を受けていたこともあったといい、その成果が出たと言えます。近くにいた警視庁のSPや和歌山県警の警護員も首相をかばうようにして走ってその場から離れ、事なきを得ました」
現場では、聴衆を避難させるアナウンスがすぐになされなかったことなど、今後への課題は残っているが、首相のそばにいたSPたちの素早い対応は、おおむね評価されている。
そんなSPとは、いったいどんな人がなれるのか。
「剣道か柔道が3段以上、拳銃射撃上級など厳しい基準を満たし、さらに訓練で選ばれた者だけがなれるのがSPです。東京五輪の女子ボクシング金メダリスト・入江聖奈さんのライバルだった元世界選手権代表をはじめ、強者ぞろいです」(テレビ局記者)
SPは街頭演説や記者会見だけでなく、プライベートでの移動にもついていき、ほとんど四六時中、首相や大臣、政党幹部といった警護対象者とともに過ごす。その日常には、一般市民にはなかなか見えない苦労もあるようだ。
政治部記者が語る。
「SPさんたちは、警護対象者がどんな人かによって、日中の過ごし方や忙しさも変わってきます。たとえば、自民党の二階俊博国土強靭化本部長は、歩くときにSPさんの腕につかまるようなこともあり、配慮が必要です。二階さんがつけるマスクがどこかにいってしまったときにはマスクを探したり、座る椅子を引いてあげたりと、お世話するような場面も目にします。
一方、麻生太郎副総裁のSPさんは、夜遅くまで飲む麻生さんのために、日付が変わるくらいまで警護を続け、朝は7時ごろから数十分の散歩にもついていく。夏でも長袖長ズボンで歩くわけですから、汗びっしょりです。
大物政治家は車で家や宿舎まで送ってもらえるため、終電など気にせず夜遅くまで飲むこともしばしば。あるSPさんは、終電を逃したときに備えて、替えパンツや整髪料、髭剃りを常備していると話していました」