河野氏留任は「ライバル潰し」

河野氏留任のウラ舞台はどうだろう。

マイナンバーカードをめぐるトラブルで責任を取らせ、別の、丸く収める温厚な人材を登用したほうがよいと話す自民党幹部もいた。岸田首相にとって河野氏は、来年秋の総裁選での最大のライバルだけに、以下のような計算が働いていると河野氏サイドは見る。

「来年秋の総裁選を考えると、河野さんを閣内に封じ込めておいた方がいい。マイナカード問題は当分続くが、河野さんがいれば世論の批判の盾になる。それでさらに評判が落ちれば、ライバル潰しにもなる。マイナカードは各省庁に横串を刺す政策で担当大臣では限界があり、これをやれるのはその上の総理しかいない。しかし、相変わらず岸田首相は総点検本部のトップを自らがやらずに河野さんに任せ、『批判は河野へ』だ。そして世論の批判が高まれば自分が出てきて、『保険証も認める』などと言い出すかもしれない。河野留任はライバル潰しだろう」(河野氏支持の若手議員)

河野太郎デジタル相(本人Facebookより)
河野太郎デジタル相(本人Facebookより)

高市経済安保相の留任については、「自民党支持者の中でも保守派がLGBT関連法などで岸田首相から離れつつある。こうした保守層をつなぎとめるには高市氏を温存しておくという判断」(前出岸田派幹部)という。

留任ラッシュで党と内閣の基本骨格を維持した岸田首相だが、新しい顔ぶれがいなかったわけでもない。

まずは女性登用。現在、女性閣僚はたった2人で、日本はG7で最低水準だ。このため、女性の積極登用というアピールをしたいと考えたのか、岸田首相は党6役と内閣のポストで、あわせて計6人の女性政治家を起用している(高市氏の留任を含む)。中でも目立つのが党人事での小渕優子選対委員長、そして内閣では上川陽子外相だろう。

ただし、ふたりの重用の動機はいささか心もとない。

まずは小渕氏。起用の経緯はこうだ。小渕氏についてはもともと後ろ盾だった故青木幹雄元官房長官が「彼女は将来の女性首相候補」と、表舞台へ登用するように岸田首相やその恩師の古賀誠元幹事長、森元首相らに強力に働きかけていた。

選対委員長ポストへの起用について、前出の岸田派幹部はこう語る。

「小渕さんは茂木派。選対委員長とはいえ、そもそも選挙は幹事長の主管でもある。次の勝負の総選挙で敗れれば茂木、小渕のふたりで責任を取らせればいいし、勝てばそれは岸田首相の総裁選再選への手柄になる。うまいポジションに就けたものだ」