すでに動き出した大増税へのシナリオ

この政府税調が提出した全261ページからなる答申。かなりのボリュームのため、関係者や専門家、一部のマスコミ関係者以外、そのすべてをつぶさに読んだ人はそう多くはないだろう。

この後段には個別の税目ごとに、政府税調が「あるべき」と勝手に考えている税制の今後の方向性が記載されている。

ここで「方向性」と書いたのは、世間で言われているような、増税や控除の廃止・削減等のメニューが具体的に記載されているわけではなく、「経済社会の○○な変化があるから、税の公平性の観点から(決まり文句のひとつ)、この税制はその在り方を検討すべき」といったことしか書いていないからだ。

岸田首相(本人facebookより)
 
岸田首相(本人facebookより)
 
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現在、騒がれている「○○増税」といったものについて具体的な記載はなく、あくまで可能性の話に終始している。とはいえ、可能性だけの話だから増税を心配しなくても大丈夫かといえば、そう安心してもいられない。

政府税調はあくまでも内閣総理大臣の諮問機関という位置づけであり、何かを決定する機関ではない。しかし、各府省は、政府税調の答申も踏まえつつ、それぞれ政策に関連する税制改正要望を取りまとめ、国税については財務省に、地方税については総務省に、8月末を期限として提出する。

そして提出された要望について検討が加えられる。最終的にどのような税制改正とするのかを決めるのは内閣であるが、税制に関しては、政府税調がが非常に大きな力を持ち、実質的にはこの党税調が決めている。党税調の議論は、例年、11月に始まり、12月の中頃に税制改正大綱として取りまとめられている。