座位行動による心身の健康に悪影響

みなさんはどんな体勢でパソコンやスマホを使っていますか?

おそらく多くの方は座った状態で使用したり、スマホならごろごろした状態でいじったりしているかと思います。座った状態や寝転んだ状態で行なう活動を、医学分野では「座位行動」といいます。

オーストラリアで行なわれた20の国と地域を対象とした国際調査によると、日本は世界で最も座位時間が長く、1日あたり約420分を座った状態で過ごしています。起きている時間の半分以上を占める計算になります。

長い時間を座ったり寝転んだりした状態で過ごすことは、心身の健康に悪影響を与えることが知られています。

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1998年から2012年までに発表された七つの国と地域で行なわれた18報の論文を統合した研究では、合計79万4577人を対象とした研究を解析した結果、座位時間の長い人は糖尿病のリスクが2.12倍、心血管疾患のリスクが2.47倍、総死亡リスクが1.49倍に増加すると指摘されています。

また、2003年から13年までに発表された13の国と地域で行なわれた20報の論文を統合した研究では、合計19万3166人を対象とした研究を解析した結果、座位時間の長い人はうつ病のリスクが1.25倍に増加すると指摘されています。

座位行動の種類別に解析すると、テレビ視聴によるリスク上昇は1.13倍、パソコンなどでのインターネット使用によるリスク上昇は1.22倍でした。

このように、オンライン習慣によって長い時間を座ったり寝転んだりした状態で過ごしてしまうと、間接的ではありますが、認知症のリスク要因である「肥満」「糖尿病」「うつ病」などの傾向が高くなってしまう可能性があると考えられます。