習慣は「気合」や「承認」では身に付かない
そもそもの話として、「褒められること」を目的に勉強するのは、あまりおすすめできません。東大に受かる学生の例でもお話をしましたが、彼らは、べつに褒めてほしいから自習室に行っているわけではないのです。
ただ「習慣化ができている」だけです。
「褒められたい」などの「承認」をベースにして勉強している人は、感情によって行動が左右されてしまう状態です。
それだと、行動を習慣化して継続して行うのは、やっぱり難しくなってしまいます。
習慣化ができている人は、他人やその日の気分には影響を受けない状態になっています。やるのが当たり前だから、淡々と続けられます。
感情に左右されなければ、課題も整理しやすいので、最短距離で成果を出せるのです。
たとえば、「今日も歯磨き、がんばってます」なんて人はいませんよね。歯磨きをして親や先生に褒められるのは、小さい子どもだけです。
でも、人間そのものは、生得的に「歯磨きする」という習慣を持っているわけではありません。みんな、どこかの段階で習慣づけられているわけです。
いつまで経っても、褒められることで歯磨きを続けられている人なんていません。
「今日も歯磨きした」とSNS で発信して「すごい!」「今日も白い歯、いいね!」なんてことは、滅多なことがなければありませんよね。
しかしいざ勉強となると、みんなまだ、習慣化できていない。すると、ついついそういうことをしてしまうのです。
逆に、気合や承認が必要なのは、「習慣化できていない」ことの証左でもあります。
受験勉強で「合格ハチマキ」を巻いて、気合を入れている予備校講師のポスターなどを見かけたことがあるかもしれません。
でも、歯磨きで「今日も白い歯」なんて書いたハチマキなんかしませんよね。歯磨きを継続できない人のためのグッズなんてないし、褒めて欲しくてツイートする人もいない。
もちろん、気合を入れること自体が、ダメと言っているわけではありません。まだ習慣化されていない段階で、最初のきっかけを作るためにハチマキを巻いたりするのには、一定の効果はあるかもしれません。
ただ何度も言いますが、気合や承認に頼るのは、それほど大きな効果を生みません。それよりも習慣化して、成果を最大化することの方が勉強の本来の目的だということを忘れないでください。
文/岡 健作
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