得意だからと言って、時間を浪費するのは大間違い
外注を言い換えるならば、「投資」とも言えるかもしれません。
外注すると、人やモノやサービスに「投資」することになると考えるならば、もちろん、損をするリスクも、当然あります。
せっかく外注をするなら、可能な限り損をしたくないものです。金融投資と同じで、リスクを管理するためのコツは存在します。
それは「自分でやるよりも、コスパがいいかどうか」で、判断することです。
たとえば、「自分とルンバを比較して、どちらの方が部屋をきれいに保てるか」を比べてみましょう。掃除がそんなに苦ではなく、掃除自体も上手な人なら、かかるコストが「ルンバ>自分」となるので、外注しなくても、自分でちゃちゃっと片づけてしまえばいいわけです。
しかし、掃除がものすごく苦手だったり、忙しくて掃除の時間が取れなかったりする人なら、「ルンバ<自分」なので、ルンバへの投資は、断然お得になります。
一言で言うならば、自分の不得意分野を外注すれば、基本的に損はしません。
このように自分が苦手なことを外注化するのは、それほど難しくありません。そもそもできないのであれば、人に頼むしかありませんから。料理が苦手なら、外食したりコンビニで買ったりすればいい。掃除が苦手なら、ルンバや家事代行にお願いすればいいわけです。
外注のときに、問題になるのは「得意なこと」をどこまで手放せるか、です。
自分でもできることを人に任せるときの判断は、かなり迷います。自分でもできることはつい「外注するより、自分でやった方が早い」なんて思ってしまうんですよね。
これは「比較優位」と呼ばれるものです。
有名な喩えで「弁護士と秘書」という話があります。とびきり有能な弁護士が、文書作成のタイピングにおいても、その秘書に比べて早くて得意だとします。
その際に、「自分でやった方が速い」とタイピングまで自分でやってしまい、弁護士業務に割く時間が短くなったとします。すると、弁護士はより稼げる弁護士業務を一部削って、単価の相対的に安いタイピングに割り当てたことになります。結果として、全体の生産性は落ちてしまうと言うわけです。
このような場合、「得意か、苦手か」は、外注するかどうかの判断基準にはなりえません。