「ダサい」と思われがちなYouTubeをはじめた理由につながる1冊
YouTuber・ベテラン中学生ことベテランちをご存知だろうか。
「【極限】灘高校から東大理三受けるやつあるある【医学部】」
「【天才と紙一重】灘校落ちこぼれ列伝【逸話】」
など、灘高校から東大理Ⅲという日本最高峰の学歴をフリに、エッジの効いたあるあるネタや受験ネタで人気を集めている現役大学生YouTuberだ。
「東大医学部」という華々しい肩書きとバカバカしさのギャップが生み出す笑いが武器のYouTuberベテラン中学生ことベテランち。だが、やはりそこは現役東大生。時折、YouTubeの画面の端に映り込む本棚には気になる本がズラリと並んでいる。
そんなYouTuber・ベテランちに、彼の人生に影響を与えた本を5冊ピックアップしてもらった。
『GO』金城一紀(角川書店)
小学校低学年から児童書ではなく一般向けのエンタメ小説を読み漁っていたというベテランち。まず最初に本棚からピックアップしたのは、在日コリアンの高校生の青春を描いた金城一紀の小説『GO』だ。
「『GO』で特に惹かれたのが“カッコつけ方”なんですよね。主人公の男は女の子の家のシアタールームで昔の映画を観たり、ジャズを聴いたりするんです。そういう昔のサブカルに詳しいヤツってカッコええな、と小学生ながらに思ってました。
序盤のシーンでは、主人公の男が友達のパーティーに参加してイヤホンで落語を聞いてるんですよ。『音楽パーティーには来てるけど、俺は落語を聴いてるぜ』っていう。その距離の取り方というか、中二病っぽいスタンスがカッコいいんですよね。
また他にも金城一紀のいくつかの作品に触れた幼少期の読書体験は、現在のYouTube活動にもつながっているという。
「この本は冒頭で『ロミオとジュリエット』の引用から始まるんですけど、同じ金城一紀の『フライ,ダディ,フライ』という小説ではMr.Childrenの『光の射す方へ』の歌詞を引用してるんです。引用ひとつとっても、あえてメジャーど真ん中のJ-POPの歌詞を引用するっていう、徹底して自分のスタイルがある感じがいいですよね。
ストレートにカッコつけるだけじゃなくて、あえて野暮に見えるようなこともするっていう。僕自身、単にセンスがいいだけなのもカッコ悪いなって思ってるからYouTuberっていう一見ダサいことをやってるところはあるんで。そういう意味で、影響は受けたかもしれません」