“ぼんご出身の店”は開店直後から話題
朝9時にお店を訪問すると、店内は仕込み作業の真っ最中。店主の樋山千恵さんは卵黄の醤油漬けの準備をし、別の女性スタッフは豚汁用の野菜を手際よく切っていた。仕込みは毎日朝8時から始まるという。
「まずはとん汁用に出汁を取ります。カツオの厚削り節と、サバ・ウルメイワシの薄削り節、昆布を使い、一番出汁と二番出汁を合わせて完成させます。
並行してお米を冷水で浸水させておき、あとは冷凍しておいた卵黄を解凍して醤油漬けにするところから1日が始まります。そのあとは、さまざまな具材の仕込みを進めていきます」(樋山さん、以下同)
樋山さんは、同区大塚にある「日本一おいしい」と絶賛される有名おにぎり専門店“ぼんご”で半年ほど修行し、さらに半年ほどの間借り営業を経て、ここ「山太郎」を開店した。「ぼんご出身のお店」とおにぎり愛好家の間で即話題となり、今年の7月8日には本店の斜め向かいにテイクアウト専門店もオープン。
現在、従業員は15人ほど。将来的に自分でもおにぎり屋をやりたいと希望しているスタッフもいるという。その女性は最初はぼんごの門を叩いたものの、弟子として入るのに順番待ちがあって希望が叶わず、山太郎へやってきたのだ。
しかし、樋山さんは「ウチでは弟子を取るなんて感じではないですよ」と笑う。
山太郎のおにぎりの具材は、定番の「うめ」「さけ」「ツナマヨ」を筆頭に、山太郎オリジナルの「スパイシィアヒポキ」といった変わり種など、現在21種類。さらにトッピングにクリームチーズと細切りチーズがある。
60種類近く具材が並ぶぼんごに比べると3分の1ほどだが、具材が少ない理由をこう話す。
「ぼんごさんと同じ具材ではなく、できればオリジナリティのある具材を増やしていきたいので。
あとは人手不足もあって仕込みが追いつかないという本音もあります(笑)」