山太郎のおにぎりはこう作られる!
テイクアウト専門店をオープンしてからは待ち時間が緩和されたが、開店当初の山太郎は、平日が約30分、土日は整理券の配布があるものの長くて1時間半から3時間ほどの待ち時間となっていた。
営業時間は昼の11時から15時(テイクアウト専門店は16時半から18時半)と短め。だが、開店当初は樋山さんひとりで握っていたが、今では握り手も5人に増え、営業時間を伸ばすことも考えている。
「握り手がひとりのときは苦労しました。私がコロナに感染してしまい、1週間ほどお店を閉めたこともありました。やっと組織としてまわるようになってきたところです」
プロが握るおにぎりと家庭のおにぎりの一番の違いは、どこにあるのか。
「うちやぼんごさんの場合、あくまで握らないんですよ。おにぎりなのに握らないっていう技術を家でやるのはとても困難なことだと思います。
あとは商品として提供するものなので、一定の大きさと具材の量、それにスピードが求められますよね。とにかくお客さんに早く提供することにはこだわりを持っています。ショーケース内の具材の置き場所にも工夫しています」
いったいどれだけの早さで提供されるのだろうか。実際に目の前でおにぎりを握ってもらった。ちなみに樋山さんは1日に約400個握るという。
質問に答えながら、わずか3分ほどで5個を完成させた。この早さに不満を持つ客はいないだろう。
おにぎりに欠かせない、お米、海苔、塩へのこだわりも聞いてみた。
「お米は冷めてしまっても、しっとりとしたおいしさを保つために、水分の含有量が増える大粒の富山県産コシヒカリを使用し、お米自体の存在感を出すために水少なめで硬めに炊いています。
海苔は包装紙のような役割があります。ですからハリがあって破れにくく、かつ香りがいい有明産です。塩についてはミネラル豊富で甘みがあり、粒子の細かい沖縄産のものを使ってます。
ちなみにお米の炊き方ですが、2時間冷水に浸しておいてから水を少し少なめにして、早炊きで一気に炊きあげればおいしくなります。ぜひご家庭でも試してみてください」
後編に続く
集英社オンライン編集部ニュース班