西側企業の中国撤退が続いている

BYDはバッテリーメーカー・比亜迪公司の子会社で、前身は西安秦川自動車だった。同社倒産後、比亜迪が買収し2003年に設立した。2010年には日本の金型メーカーオギハラの館林工場を買収した。中国政府のEV補助金を受け、EV販売数では世界一となった。

それにしても脱炭素、環境保護という左翼運動の余波で世界の自動車メーカーがEVに傾斜したことは、ガソリンエンジンが主力の日米独の自動車産業を落日に追い込んだ。しかしEVの今後の発展が電池技術にあるばかりか、充電の必要があるから電気需要が増大することも明らか。発電には石炭、原油、ガスが必要であり、脱炭素にはならないという皮肉な結論がでる。EU諸国は2035年のガソリン車撤廃目標を降ろした。ハイブリッド車は残るのである。

また太陽光発電は寿命10年、雨が降ると役に立たずあちこちで不評な上、熱海の山崩れの原因とされ、勢いが削がれた。太陽光パネル生産も中国が世界一だった。

西側企業の中国撤退が続いているうえ、日米欧は中国へのハイテク輸出を規制し、米国はブラックリストを公表し、日欧にも協力を要請した。とりわけ半導体装置では日本とオランダが米国と協議し輸出停止を申し合わせた。

中国の地銀で倒産連鎖! 共産党による達成不可能な目標、地方政府は債券乱発1000兆円、逃げる海外マネー…「経済の専門家が政権中枢にいない」_6

海外マネーの逃避が続出している

欧米ファンドも中国から引き揚げをはじめ、中国をのぞく新興工業国家群への投資に分散、米ファンドの日本向け投資は中国へのそれの2倍近くになった。ベトナム、インド、マレーシア、豪州などへ、ハゲタカファンドのKKRやブラックストーンなどの巨大ファンドが投資対象を切り替えた。この2つのファンドは日本への投資拡大を目論んでいる。

中国株への投資も海外マネーの逃避が続出している。アリババ、JD、美団など中国のハイテク企業株から足を洗っているのだ。

かような情勢変化に直面する中国が5%成長を遂げるという習近平の方針は、張り子の虎(ペーパータイガー)としか言い様があるまい。

#1『サントリー「響」の価格を釣り上げた中国人ビリオネアの正体。迫る金融倒産連鎖…個人情報を守れないスイスの銀行を富裕層が見放した!』はこちら

#2『危機のクレディスイス、汚職官僚や犯罪者らの不正資金口座疑惑浮上…中国・深圳に合弁会社を作った矢先の惨劇』はこちら

#3『国際システムは崩壊寸前、投資家たちはいっせいに資産をゴールドへ変換! 日経平均3万1000円に踊らされる日本人』はこちら

#5『一気に30万人消失! 台湾人が中国大陸から逃げ出している…技術を盗まれ、工場は乗っ取られ、愛人たちは金を持ち逃げし…』はこちら

国際金融危機!米中メルトダウンの結末(ビジネス社)
宮崎 正弘 
2023年5月17日
1,650円
248ページ
ISBN:978-4828425313
米国・シリコンバレー銀行の経営破綻から始まり、米国の銀行、数行から1日に400億ドルが預金口座から蒸発した。
IT系のベンチャー企業に無理な融資を行い、焦げ付きが生じたと言われている。
さらにクレディスイス銀行、ドイツ銀行などEUの金融大国にも危機が飛び火。中国の資産家や企業も打撃を受ける事態に!
世界経済のバブルが弾ける。そのとき日本経済は生き延びられるか?ドル基軸体制は、いつまで持つのか?
国際資本の伏魔殿の最新情報!

GAFAM黄金時代の終わり/中国経済の大陥没/ウクライナの怪しいマネーが招く大混乱
次の世界恐慌が目前に迫る。


[本書の内容]
ジャック・マーに帰国をうながした中国政府/米国主導だったグレートゲームは終了する?
米国の分裂状態は悪化する/政権中枢に経済通がいない
金融も共産党直轄になるなんて!/海外マネーの逃避が続出している
米国の対中制裁「ブラックリスト」は651社/中国のZ世代は何を考えているのか
それでも中国への油断は禁物/「ドル基軸体制の終焉」が警告され始めた
●もくじ
プロローグ リーマンショックの惨状を超える未来の国際金融の疑獄図
第1章  SVB、シグニチャー銀、クレディスイスの破綻は「金融恐慌」前夜
第2章  米国は中国に勝てるのか?――GAFAMの黄金時代は終わった
第3章  ウクライナの伏魔殿が導く大混乱
第4章  中国経済の大陥没が起きる
第5章  グローバル・パワーとして振る舞いだした中国
エピローグ 大きく揺らぐドル基軸体制
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