「すべてはトランプの所為だ」と左翼が問題をすり替え
シリコンバレー銀行(SVB)は3月9日から取り付け騒ぎに発展し、3月10日に倒産した。あっという間だった。
米国のリベラルなメディアにSVBの倒産は「トランプの責任」との、こじつけ論が目立つ。議論を歪めるのは彼らの常套手段である。
2018年のトランプ政権時代に小規模な銀行(資産2500億ドル以下)への監査基準が緩和されたのは事実だ。したがってFRBサンフランシスコ支部もSVBに対して「乱高下が烈しいハイテク企業への投資や暗号通貨保有」に関して何度か警告を発していたが、それまでだった。暗号通貨への投資が多かったのはニューヨーク基盤のシグニチャー銀行だった。
しかしFRBには注意するだけで、それ以上の行政命令権は付与されておらず、法改正はトランプ時代だったとして、金融危機を招いたのは法律を緩和したトランプだ、と牽強付会な論理をリベラルなメディアが展開をしている。
「2022年7月にFRBは全面的警戒を発し、SVB幹部を呼んで話し合いを持ったが『金利が上昇するので大丈夫』」と見通しを語ったとか。たしかに金利は上昇した。それは銀行経営を利したのではなく危機を深めた。2023年初頭、リスクマネジメントが必要と危機ランプが点った」(『ニューヨーク・タイムズ』3月21日から要約)
SVBの取締役会は2020年選挙でバイデンに11900ドルの政治献金をしており、CEOのグレグ・ブレィデイは個人的にも5600ドルの献金をバイデン選挙本部に行った。このことはほとんど報じられていない。
問題は25万ドル以下の預金者の預金保護だが、FDIC(連邦預金保険公社)にはそれだけの資力はない。米国人の預金総額は18兆ドル(正確な数字は17兆9750億ドル=邦貨換算で2336兆円強)。ちなみに日本人の預金好きは世界的に有名で、2000兆円の金融資産がある。
米国では今後もずるずると地方銀行、小規模な銀行が経営危機に直面するだろう。フランスやドイツが試みたように、銀行国有化という最後の手段を唱える論客も出始めている。