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ビットコインも海外資金逃避の伏魔殿だった

金融の伏魔殿はビットコインが代表する暗号通貨資産である。

暗号通貨取引大手だったFTXのトップ、バックマンフリードは、バハマ諸島ナッソーで逮捕され、ニューヨークで裁判が進行中である。

3年ほど行方をくらましていた韓国人の「暗号通貨王」ことド・クォンは、23年3月にソウルから遙かに遠い、バルカン半島のモンテネグロで逮捕された。韓国当局から逮捕状がでていた。

このド・クォンは暗号通貨「テラUSDコイン」なる投機商品を発行し、被害総額は400億ドル。「3本の矢キャピタル」や「セルシウス」など流通業者が倒産に追い込まれ、SEC(米国証券取引委員会)からも召喚されていた。

ド・クォンはシンガポールの拠点を畳み、ドバイからセルビアあたりに潜伏していたが、3月23日にモンテネグロのポドゴリッツア空港で逮捕された。

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大富豪らが「危ない資金」をスイスから「もう少し安全な場所」へ

この暗号通貨破産と、さきのSVBの倒産とはいかなる因果関係で結ばれるか?

トランプ前政権の首席補佐官代行だったマルバーニが「オペレーション・チョークポイント2・0」との関連を示唆した。

米財務省は「暗号通貨はSVB倒産と無縁」と考えて、「リスク管理の悪さが原因だ」としているのだが、当局がSVBに対して「暗号通貨を避けるよう」に圧力をかけた経過がSVB崩壊につながった可能性があることを示唆した。つまりSVBは暗号通貨に手を出していたのだ。

「オペレーション・チョークポイント2・0」とは銀行が暗号通貨の預金を保持したり、当該通貨の「安全性と健全性」に基づいて暗号通貨会社に銀行サービスを提供したりすることを思いとどまらせる取り組みを意味する。ただし米国当局は「オペレーション・チョークポイント2・0」を公式戦略とは認定していない。

FRBならびに連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)が「暗号資産に関する共同声明」で、「暗号通貨と分散型ブロックチェーン・ネットワークは安全で健全な銀行業務と矛盾する可能性が非常に高い」と警告していた。

暗号通貨は富豪たちの隠れ蓑となった。一時はビットコインの80%が中国人によって商われた。マイニングならびに取引業者は香港、シンガポールから現在はドバイに集中している。要するに大富豪らが「危ない資金」をスイスから「もう少し安全な場所」へ移したのだ。いずれ『ドバイ文書』の出現となるかもしれない。