「ボク トーダイの巻」(ジャンプ・コミックス40巻収録)

今回は、東大卒の超インテリ&クソ真面目……だけど顔がめっぽう怖い新人警察官・法条正義(ほうじょう・まさよし)が、生まれてはじめて喫茶店に入るお話をお届けする。

今回初登場の法条は、のちに本田と同じく両さんの(主に巻き込まれポジションの)相棒的な存在となる男だ。のちに判明するのだが、配属当初は三重県松坂市の実家から東京の葛飾区亀有まで通勤していた。

三重県といえば名古屋を中心にした中京圏の一角で、充実しすぎているモーニングで知られた喫茶文化圏内の地でもある。それなのに喫茶店に入ったことがないという法条は、いささかもったいない青春期をすごしたといえるだろう。

さて、先日からお伝えしている、日本の喫茶店の歩みについて、また少し述べておこう。

1980年代になると、ドトールをはじめとするコーヒーショップがチェーン展開をして、個人経営の喫茶店は次第に数を減らしていった。ハンバーガーやドーナツでお馴染みだったセルフ方式の販売方法をコーヒー提供に取り入れ、日本全国に広めたのだ。

だが、無双状態となったセルフ方式コーヒーショップも、わずか10数年のちには、アメリカ西海岸からやって来たスターバックスなどのシアトル系店に覇権を奪われることになる。

深煎りした豆を使い、さまざまなオプションをつけたメニューと、フリーに使用できるネット回線を売り物にし、さらには「そこにいる私=イケてる」と客に思わせるイメージ戦略で、それまで男性中心だったコーヒーユーザーを女性にも広げることに成功した。しかしそのシアトル系も、近年では「○○離れ」が囁かれて久しい。

コロナ禍での外出・外食自粛を乗り越えはしたものの、喫茶ビジネスがこの先どんな展開を見せるのは、まだ明らかになっていない。

ちなみにネットが普及した1990年代後半以降には、「漫画喫茶」が発展した「ネットカフェ」が登場したが、これは長時間滞在や個人用ブースが特徴で、単なる喫茶店やカフェとは用途が異なっている。

それでは次のページから、マジメ警官・法条が喫茶店で巻き込まれた大騒動をお楽しみください!!