ポケットに妻子の写真を忍ばせて…

そんな彼に将来のビジョンについても聞いてみる。現在、26歳とプロサッカー選手としての円熟期を迎えている彼は、ガンバでの活躍の先にどんな「新たな旅」を望んでいるのだろうか。

「サッカーは僕にとって友だちを作るツールだった」。9歳でアメリカに移住してからボールを蹴り始めたJリーグ初のイスラエル人選手、ネタ・ラヴィの日本での挑戦_5
ⓒGAMBA OSAKA

「今はとにかくガンバで、勝者になるために貢献することしか描いていないので、正直、先のことは考えていません。サッカーはサポーターに捧げるものであるからこそ、ガンバを愛するたくさんのサポーターのために、大きな感謝と喜びをスタジアムで還元していきたいと考えています」

時間がかかることは覚悟の上で、だ。

「もちろん、先にもお話しした通り、クラブの成長には過程が必要で、それを飛び越えて成果を得られることはありません。指を鳴らせば急に180度状況が変わるような、マジックはないからこそ、真摯にさまざまな過程を積み重ねていくしかないと思っています。
とはいえ、選手としてできるだけ早く、目指すべき場所にたどり着きたいという考えは持ち合わせています。そして、それは一人で実現できることではないからこそ、仲間を信頼し、支え合ってクラブ、チーム全体で、取り組んでいきたいし、そのために僕自身も最大限の力をガンバに還元したいと思います」

「サッカーは僕にとって友だちを作るツールだった」。9歳でアメリカに移住してからボールを蹴り始めたJリーグ初のイスラエル人選手、ネタ・ラヴィの日本での挑戦_6
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1つ1つの言葉に力を込めて、思いの丈を聞かせてくれたラヴィ。ガンバへの加入に際して揃えたという、ガンバブルーの財布、バッグは今回のチャレンジへの思いを示すもの。

いつも携帯しているそのバックのポケットに、愛する妻とのツーショット写真と、息子が生まれる前のエコー写真を忍ばせて、イスラエル人初のJリーガーは今、日本の地で覚醒の時を迎えている。

#1「J初のイスラエル人プレイヤーはJリーグをどう見ているのか」はこちらから

取材・文/高村美砂