大人になってわかる『THE3名様』のエモさ
――劇場公開時には各地に舞台挨拶にも行かれましたが、お客さんの反響はいかがでした?
佐藤 12年も経ったことで、むしろエモい感じで観てくださる方が多かったように感じましたね。
石原 Twitterでも、「当時を思い出して泣いちゃった」っていう声があったり。
佐藤 「あの頃、一緒に観ていた友だちに久し振りに連絡を取ってみようと思いました」とか。もし5年ぶりとかだったら、こういう反響にはならなかったと思うんですよ。かといって、これ以上だと間が空きすぎる。結果的に絶妙なタイミングになったのでは?という気がしています。
石原 「当時は自分もフリーターだったけど、今は子どもと一緒に観ています」っていう人が本当に多かったんです。
――観客が自分の青春と作品を重ね合わせているんですね。
佐藤 そう、大げさに聞こえるかもしれないですけど、青春なんです。12年ぶりの『THE3名様』を観て、僕らも、そしてお客さんもそれぞれの青春を取り戻しているような感じがありました。
石原 3人の名前を書いたうちわを持っている人までいましたからね。
――漫画もドラマもキャラクターは成長していないけど、その変わらなさが観客に“あの頃”を思い出させる要因にもなっているんですね。ただ、連載中の『THE3名様 Ω(オメガ)』では、実は1歳だけ歳をとっていますね。
石原 28歳になりました。30歳が見えてきて、ちょっと切実さが増してきたわけです。でも、そのうち「やっぱ上げすぎた」って年齢を下げるかもしれません(笑)。
――隆太さんにとっても、『THE3名様』は青春の作品ですか。
佐藤 はい。漫画を読むたびに若い頃に戻りますね。めちゃくちゃ共感できるシチュエーションで、「わかるな~」ってところがいっぱいある。
例えば、最近の連載でもありましたけど、ドリンクの氷の凹んでいるところに溜まった水をストローで飲むくだりとか、「絶対やるよな」って思います。
石原 絶対やりますよね(笑)。
佐藤 自分も若い頃は友だちとファミレスに行って、こういうたわいもない時間を過ごしたなって。でも、そのたわいもない時間が今の自分を作っていると思うし、まこちん先生の漫画を読むと、あの当時の気持ちになれる。照れくさいですけど、それはすごく思います。