「子どもに我慢させているのだから大人も守らないと…」

3月28日、小雨の降る中、渋谷区にある警視庁の独身寮に帰ってきたカッパ姿の20代とみられる男性は「安全第一」と書かれた工事用のヘルメットを着用していた。真新しくいかにも急ごしらえで購入して間に合わせたようだ。

全国各地で警察官が 「4月1日から自転車乗車時のヘルメットの努力義務化になります。ご協力よろしくお願いします」 とチラシを配り、ヘルメット着用の呼びかけを行っている手前、どんなヘルメットでも率先してかぶるべきと考えたのかもしれない。

「お巡りさん、ノーヘルですよ!」自転車ヘルメット着用義務化直前に警察寮で張り込みしたら、着用率はわずか1割! 条例違反運転する警官も_3

警察のこういった呼びかけを街行く人はどう受けとめているのか。自転車通勤をしているという20代の男性会社員は語る。

「事故を起こした時にヘルメット着用の有無で保険の適用に差が出るなんて噂もあるし、かぶろうとは考えています。
ただ、ヘルメットをかぶったら髪型がくずれるし、ヘルメットを持って会社に行ってもロッカーがなく、自転車のカゴに入れたままだと盗まれそう。しかたがないのでダイヤルロックを買って自転車につけとこうとか考えています」

また、別の30代主婦は子どもの手前、かぶらざるをえないという。

「保育園の送り迎えで自転車に乗る子供にヘルメットをかぶせようにも、いつも嫌がって。危ないからと言い聞かせて子供に我慢させているのに、大人である自分がかぶらないわけにはいかないなと思っています。ただ、荷物も手間も増えて大変ですね」