仕事におけるチャレンジはすべてプロセス

——藤崎さんの視点で、現在のドムドムフードサービスが抱える「課題」とは何だとお考えでしょうか。

実は、私は「課題」を持たないようにしているんですよ。

——それはなぜでしょう。

課題や目標を定めてしまうと、クリアできなかったときに、そのチャレンジが「失敗」と捉えられてしまうからです。でも、事業を展開するうえでのチャレンジは、すべてプロセスですよね。失敗や課題と捉える必要は、まったくありません。

たとえば、新商品のバッグを販売するとして、80個しか売れなかったとします。もし事前に「100個売る」と目標を設定していた場合、80個しか売れなかったら、それは「失敗」と多くの人は捉えてしまうでしょう。

でも、私はそういうネガティブな視点で結果を捉えたくありません。「80個売れた」という事実だけを受け止めて、「どうやったら120個売れたのか」と考えたい。「もう少し事前にSNSで告知しておけばよかったのか」とか「販路をもっと増やせばよかったのか」とか、そういうことを考える方向に思考を向けたいのです。たとえ、結果が同じだとしても。

——その思考は、スタッフにもポジティブな影響を与えそうですね。

そうなんです。この思考が会社内に行き渡ると、大勢で働くうえで、スタッフに「失敗を隠す」というマインドが生まれなくなるのです。

「失敗したからこうしよう」ではなく、「どうすればもっと良くなるか」という思考に切り替えられれば、「上長に失敗を隠したい」とは思わなくなりますよね。ゆえに、建設的な会話がしやすくなります。

ちなみに、こういう話をするとたまに「藤崎さんは数字を見ないんですか?」とか聞かれるのですが、もちろんしっかり見ています(笑)。会社とスタッフを守らないといけませんから。そういうマインドだという話です。

SHIBUYA109のショップ店員から飲食チェーンの代表取締役へ。「ドムドムハンバーガー」奇跡の復活を達成した敏腕経営者が、「課題や目標を持たない」理由_4
藤崎氏による経営戦略に関する書籍『ドムドムの逆襲』(ダイヤモンド社刊)
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▽オリジナルグッズも絶好調な「ドムドムハンバーガー」が、“絶滅寸前”から復活できた理由

文/井上晃