ショップで働きながら学んだ経営術
——藤崎社長は“敏腕経営者”としてメディアにも多数出演されていますが、経営スキルは実際のところどのように身につけられたのでしょうか?
これも実は、SHIBUYA109時代の経験が大きいんです。ただ、座学でマーケティングを学ぶといったようなことはしていません。「お店がちょっと汚れているから綺麗にしよう」とか、「この時間帯にこんなにアルバイトが必要なのか?」とか、店舗の中で働きながら、目の前の仕事をひとつずつ解決するだけでした。
たとえば、レジで時間帯ごとの売上を確認して、売上と勤務人数の相関をデータとしてまとめたり、当時そのショップにはバーコードを使った在庫管理システムがなかったので、アパレルに付いているタグを使って管理できるように整えたりもしましたね。
本来は店舗システムとして導入されているものばかりですが、当時私がいたショップにはなかったんです。そうして試行錯誤しているうちに、店の売上は1年目で120%に増え、最終的には200%まで伸ばすことができました。このような「目の前のもの」を片付けていくという精神は、現在の経営にも活きていると思います。
——ドムドムハンバーガーに入社し、社長に就任されてからも「目の前のこと」に集中してきたと。
そうですね。まずはスタッフの皆さんが何を考えているのか、どんな個性を持っているのかを知るために、いろんな接点を作って、信頼関係を構築していきました。ショップ店員と居酒屋経営しか経験していない主婦が急に社長になったら、スタッフとしては当然不安になりますから。
たとえば私が代表に就任したばかりの頃は、会議が「数字を読み上げるだけの時間」になってしまって…。スタッフ同士がうまくコミュニケーションを取れていなかったのだと思います。なので、とにかくスタッフと会話を重ね、どんな会議でも、誰もが建設的な意見を言い合えるような環境づくりに努めたんです。
そういった中で決めた会社としての方針が、「消費者やスタッフの人生に寄り添って、ブランドを育もう」というもの。新型コロナウイルスが蔓延する中でも、目の前のことに集中したおかげで、結果的にオンラインサイトなどを使った物販や他社とのコラボ製品の開発などを展開できるようになりました。