強豪チェーン店も撤退してきた歴史
熟成醤油ラーメン「肉そば」を売りに、全国170店舗以上を構える「丸源ラーメン」。昨年12月28日、北海道札幌市白石区の菊水元町に出店し、北海道進出を果たした。オープン直後からにぎわいを見せていると話題だ。
しかし、北海道は全国屈指のラーメン激戦区。今や知名度が全国区となった北海道の人気店「すみれ」や「えびそば一幻」をはじめ、数多の有名店が軒を連ねている。
また「味の時計台」「ラーメンさんぱち」といった道内のローカルラーメンチェーン店の存在感も強く、既存の有名店や人気チェーン店がしのぎを削り合っている状況だ。
そんな北海道のラーメン業界は、札幌は味噌、旭川は醤油、函館は塩と主に3派にわかれているが、札幌ラーメンコンシェルジュ・大石敬氏いわく、「道民の味の好みが必ずしもこの3派に即しているわけでもない」という。
「たしかに一昔前は黄色いちぢれ麺でスープが味噌、醤油じゃないと食べたくない人、いわゆる札幌ラーメンを愛する層がまだまだ顕著でした。けれど現在はほかの地域からラーメン文化がどんどん入ってきているので、若者を中心に多種多様なラーメンを楽しむ土壌ができ始めています」
となると、丸源ラーメンにも勝機はありそうだが、実は本州発のラーメンチェーンが北海道に進出するも、撤退を余儀なくされたという過去がある。
2012年に札幌市厚別区厚別東に1号店を出店した「幸楽苑」は、最盛期には道内11店舗にまで増やしたものの、2017年の業績不振を機に道内から完全撤退。また京都発のこってりラーメン「天下一品」も2014年に札幌市中央区すすきのにオープンしたが、その後思うように店舗展開を進めることができず、2021年に営業を終了した。
なお、この2チェーンに撤退の要因などをうかがおうと取材申請をしたが、回答は得られなかった。
そのほかにも、主に関東で店舗を広げる「くるまやラーメン」もかつては札幌市などで店を構えていたが、現在は閉店。
また現状、「一蘭」や「らあめん花月嵐」は、札幌市内に1店舗のみで営業を続けているが、ほかの強力なライバル店のなかでイマイチ存在感を示せていない印象だ。
それでも北海道以外が発祥のラーメンチェーンにも勝算はある、と大石氏は言う。
「万人ウケするラーメンの味に求められるレベルが高まっていますし、もしくはよっぽどほかとは異なる特徴的な個性を持つラーメンなどでないと、道内でどんどんチェーン展開していくのは難しいかもしれません。ただそう考えると、本州発チェーンは個性的で特徴のある味が多いので、道内でヒットする素質はあるはずだと私は考えております」