「お笑い芸人になりたい、って言っていましたね」

高卒後にNSC(吉本)東京に進学。「異色の登山家」栗城史多はお笑い芸人を目指していた!?_2
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3年生のときの演劇は最優秀賞に輝いた。栗城さんはこの劇に並々ならぬ力の入れようで、夜の11時に練習のためクラスメートたちを体育館に呼び出したこともあったそうだ。

森先生が最も印象に残っているのは、その準備中のある出来事だった。

「栗城が『商店会の倉庫に連れて行ってくれ』って言うんですよ。いつもそうなんですけど、彼は『何のために?』とか『理由は?』とか聞いても一切教えてくれないんです。仕方なく倉庫に行ってみたら、ピンクの大きなうさぎの被り物がありました。商店会の売り出しセールに使う、胴体が布になっているやつで……。彼の家は店をやってるから、詳しいんですよ、その辺の事情。

あそこへ連れて行け、って言うだけで理由を言わないのは、それが彼のネタだからなんです。オチをつけるまでタネ明かしをしたくないっていうか、周りのリアクションを楽しむんですね。うさぎの被り物のときも、ボクが『これを使いたかったのか?』って聞いたら、ヤツはニヤッとしてました」

幼稚園から高校までずっと一緒だった齊下英樹さんも、この劇に出演している。

「クラスに西田っていうやたら背の高いヤツがいて、そいつに被せたんです。でかいヤツがでかい被り物つけたらメチャクチャ巨大じゃないですか? ウケてましたよ。栗城とは中学のときの行事でも、一緒に漫才やりました。放送禁止用語の連発で、ドッカンドッカン笑いが来てました」と笑う。

そんな栗城さんが高校卒業後に進んだのは、吉本興業のグループ会社が運営する「NSC(吉本総合芸能学院)東京校」だった。

「お笑い芸人になりたい、って言っていましたね」

森先生に聞いて、私は初めてこの事実を知った。事務所の児玉佐文さんも知らなかった。