各教室のドアは開けっ放しで、試験中の声がダダ漏れ

<試験中の音漏れ>

・試験は前半組と後半組に分かれて実施し、同じ問題が出題されたが、あろうことか先に試験を受ける前半組の教室の隣には、その後に試験を受ける後半組が待機していた。

・各教室のドアを開けっ放しなため、後半組の私の教室には隣の前半組の試験中の声が筒抜け。試験監督の事前説明も、受験生の回答も、何を言っているのかハッキリわかるレベルで聞こえた。多くの受験生がSNS等に挙げた「出題内容を事前に把握できた後半組が有利」という指摘はその通りだった。

<個人情報の杜撰な管理>

・個人情報管理も危惧していた以上に杜撰。当日に受験生名簿が試験監督に配布されましたが、厳重な扱いをするようにという指示はなかった。

・試験終了後には誰もいなくなった教室に受験者名簿が置き去り。私が『名簿を回収しなくていいのか』と責任者に問うと、ようやく名簿を回収し始めたが、全ての名簿が回収されたかはチェックしていなかった。試験監督が名簿を持ち帰ることも可能だったかもしれない。

・タブレットだけは大事なようできちんと数えていましたが、個人情報を含む文書はそもそも管理する気がない様子だった。

<トラブルをなかったことにする東京都教育委員会>

・このような状況で実施された試験ですから、都立高校入試への活用は許されないはず。そもそも公平に試験が実施されていない。

・東京都は「大きなトラブルはない」と主張しているが、都はトラブルの情報収集を自ら積極的に行っていないのだから、それはある意味で当然。例えば試験監督が提出する報告書には欠席人数や機材の過不足の欄しかなく、トラブルを記述する欄は全くない。報告手段が無いのをいいことに都は「大きなトラブルの報告は無い」と言い張っている。

*運営会社グロップからの脅迫などを含む告発全文は現地参加した筆者がtheletter「犬飼淳のニュースレター」で公開した「試験監督者本人がESAT-J運営の衝撃的実態を暴露」 https://juninukai.theletter.jp/posts/11b55220-7846-11ed-b523-eb91286f8471 (2022年12月10日)参照

これで英語スピーキングテスト(ESAT-J)の異常性がおわかりいただけただろうか。改めて繰り返すが、この問題の本質は「英語教育の是非」ではなく「入試の公平性を担保できず、スピーキング強化という本来の目的も達成できないうえ、公共事業でありながら東京都が民間企業(ベネッセ)へ利益誘導しているかのように見える」ことである。

このまま都立高校入試での実績が既成事実化すれば、今後は日本全国の公立高校入試 関係者(受験生、保護者、教師 等)に被害が拡大するだろう。東京都教育委員会および小池百合子都知事がこの問題を無かったことにできないように、声を上げる必要があるのではないか。


https://www.change.org/p/東京都教育委員会-都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求めます
https://www.change.org/p/都立高入試に英語スピーキングテストを使わないでください


文/犬飼淳